強迫症状が起きている時は、実際と想像の区別がつかなくなることがあります。たとえば、汚染の強迫観念がある人にとっては、汚れをさわった手で他のものをさわると、そこに汚れの微小な粒が移ったと思えてしまいます。また本人が汚いと思っている床に家族がさわり、その手を洗わないでほかの場所にさわると、本人は家族がさわった場所にも汚れがついたと感じるのです。本人にとっては、このようにして、汚れが伝染していきます。汚染されたと思う場所は、想像の中で次々と広がっていくのです。
強迫性障害が起きているときには、実際に何も起こっていないと思う反面で、何かをしてしまったような気になることもあります。手がさわってもいないのに「もしかしたらいま、汚れにさわってしまったような気がする」というような場合です。
さらに、普通の人は気にも止めないような小さなしみのようなものでも、虫がきらいな人には、害虫のふんと見てしまうなど、実際と想像の区別がつきにくいことがあります。
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