認知療法は、アメリカのペンシルベニア大学精神科のアーロン・T・ベック教授がそれまでの精神療法の長所を取り入れながら考え出した精神療法です。この認知療法は主にうつ病の治療方法として知られています。
この心理療法は、人間の気分がその人独特の認知 (ものごとのとらえ方、考え方)
によって影響を受けるという考え方に基づいて、その認知のあり方を患者さんと共に検討して、検証し、問題行動の修正および問題解決を行って、気分を改善させることを主な目的としています。
例えば、うつ病の患者さんは、物事をすべて否定的に捉えます。「なぜ、こんなこともできないのだろう」と考え、次に「それは自分がダメな人間だからだ」と、はじめに浮かんだ考えを悪いほうに悪いほうに転じていきます。
「うつ」の症状はこのように、理由もなく勝手に歪んだ思考が浮かんでくるようになってしまい、「心の癖」のようになってしまいます。それが自分の性格なんだ、と諦めてしまう人もあるかもしれませんが、認知療法では、それも思考の歪みにすぎないと見ています。認知療法は、気持ちが下向きになるたびに立ち止まり、心の軌道修正を行いながら、気持ちを上向きに変えていきます。 |
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