心気症

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心気症とは


 心気症とは「ノイローゼ」のことで、中高年に多く見られます。自分の健康状態の不調が気にかかり、病気でもないのに、重い病気にかかっていると心配し続けます。

 頭痛や腰痛、胃の痛みなどを感じると「何か病気にかかっているのではないか」と思うことは誰でもあります。普通は、病院で受診して「心配が無い」と診断されたり、自然にそうした症状が消えてしまえば、いつとはなしに忘れてしまいます。

 しかし、医師からは何度も「心配ない」と言われても、検査結果が「異常なし」と出ても、「重大な病気にかかっているのではないか」という不安が打ち消せず、体の不調を訴え続けるのが心気症です。

 心気症では医学的な検査を、患者に要求されるまま行っても、結果は病気を認められるものではなく、治療の必要もありませんが、同時に、不眠症や不安、葛藤、欲求不満、ストレス、うつ症状などの精神的な症状があらわれる患者さんもあります。体の不調を訴え続けるの病気として多いのは、脳腫瘍、脳卒中、胃がん、高血圧症、心臓病などです。



心気症 症状


 心気症の症状には自分の体のわずかな異常にとらわれて、自分が今重い病気にかかっているのではないかと思い込んでしまいます。さらに「重大な病気かもしれない」と病院にかかり、「異常が無い」といわれても納得せず、繰り返し受診したり、次々と医師を変えて受診したりします。

 一般的には、癌などの症状や、不治の病を疑っていることが多くあります。痛みや不快感などの自覚症状が持続しているため、医師や家族から「気のせい」「病気ではない」などと批判されると、孤独感を募らせ、ますます訴えがひどくなることもあります。

 人によっては、「現代医学では治らない」と思い込み、医学書を買い込んで読みあさり、次々に民間療法をためしたり、だまされて被害にあうこともあります。

 本人が感じる身体的な異常や症状としては、肩こりやめまい、物忘れ、そして、頭痛が常に起きていたり、頭がぼーっとしてしまうなどもあります。また、疲労感や脱力感からなかなか解放されず、不眠症、欲求不満、不安、葛藤、ストレス、うつ症状など神経的な症状も混じることもあります。



心気症 原因


 心気症は、自分が今重い病気にかかっているのではないかという思い込みから生じるもので、体の機能に異常は認められません。しかし、医師が問題ないと診断しても、病気を見過ごしていると解釈する傾向にあるため、不安にかられてしまいます。

 性格的には、まじめで神経質、孤独でプライドが高い人に、過度のストレス等が加わった時に起こることが多いようです。そして自尊心が傷ついたり、所属や愛情の欲求が満たされず安定感や安心感が脅かされるような、自己の存在を否定するような不安が揺り動かされたときなどに発症するようです。

 そしてその心の悩みを誰にも話せないので、体の不調に置き換えて訴えているともいえます。また、過去に実際にあった病気や、近親者の病気などが原因になっていることもあります。



心気症 治療


 心気症というこころの病気は、身体に感じる些細な異常や痛みを大きくとらえ、自分が重い病気にかかっているのだと思い込んでしまうノイローゼです。まずは本当に体の病気があるかどうかきちんと検査します。心気症の治療には、まずストレスによって身体症状が起きているという認識、心の病気であるという本人の認識が大切です。

 心気症の人は体のどこかに重大な病気があると信じこんでいるため、精神科治療に抵抗することが多いので、治療は困難とされます。心配ないと医師が保証しても不安は解消されませんので、医師との信頼関係が構築されていると、よりその改善に期待が持てます。

 精神療法としては認知療法、支持的精神療法、行動療法、集団療法などがあります。薬物療法では「セロトニン再取り込み阻害薬」などが効果的といわれています。


受診のポイント
 頭痛や腰痛、胃の痛みなどが現れると、まず受診するのは内科や外科、整形外科などです。そこで何度も「異常なし」と診断されたにもかかわらず、自覚症状が治まらないときは、精神科を受診してみるのが良い方法です。総合病院などでは、こうした患者さんの訴えを不振に思った医師から、精神科受診をすすめられることもあり、内科などの医師と連携で治療をすることもあります。


周囲の人の対応
どこも悪くないのに「病気だ」「不快だ」と訴え続ける患者さんの話を聞くのは、なみたいていのことではありません。しかしそこは「病気である」という認識を持って、患者さんに病状を説明されたら、聞いてあげることが大切です。

 かかっている病院が、精神科医療を受けられないところであれば、精神科医療が受けられるメンタル・クリニックや総合病院などに相談して、専門医療が受けられるように配慮することも必要です。

 患者さんは、自分が病気だと思い込んでいるため、外出をしなくなるなど、行動を制御しがちになります。なるべく別のことに興味をひくように話題を提供したり、気分転換をさせるようにしましょう。