強迫性障害

TOP強迫性障害


強迫性障害とは


 強迫性障害 とはひとつの考えが頭から離れず、無意味とわかっていても同じ行動をくりかえします。自分でも不合理だと思いながら何回も繰り返すので、本人にとっては大変つらい病気です。強迫性障害は人種や国籍、性別に関係無く発症し、調査によると全人口の2%前後が強迫性障害であると推測されています。
 

 
強迫性障害 の症状は、例えば、デパートの屋上にいたとして「ここから落ちたら」という考えが頭に浮かんだとします。普通はすぐに消えてしまうようなこうした想念が、繰り返し、浮かんでは消えたり、頭の中を占領してしまい、他のことが考えられなくなる。これを強迫性障害と呼びます。強迫観念とは、自分では意味のないことだとわかっていても、浮かんでくる考えです。


 それに対して強迫行為と呼ばれる症状もあります。強迫行為とは駆りたてられるように感じられながら繰り返し行なわれるような行為のことで、強迫観念による苦痛や不安を軽減する、あるいは回避する目的で行なわれます。

例えば、外出後、鍵をかけたかどうか不安になり、何度も家に帰って確認する。夜寝る前にタバコの火を消したかどうか不安になり、何度も起きて確認する。こうした行為は不合理だとわかっていてもやめることが出来ません。

 強迫観念と強迫行為の両方が存在しない場合は強迫性障害 であるとはいえません。強迫観念と強迫行為は、一緒に起きることもあれば、バラバラに起こることもあります。一緒に起こる場合は、たとえば「手にバイ菌がついていると不潔だ」という強迫観念が浮かび、繰り返し手を洗うことでバイ菌を消そうとするという強迫行為が一緒に現れます。動物でもネコなどが発症し、毛繕いを頻繁に繰り返したりするのもその症状だといわれています。




強迫性障害 症状


 強迫性障害といっても、一人一人の強迫観念の内容や罹病期間などが異なるため、その症状の現れ方や、患者さんとの相性をもとに、それに適した精神療法と薬物療法が用いられます。

 強迫性障害は、患者さん自身が、強迫観念や、強迫行為を意味のないことだと認識しています。認識しても繰り返してしまい、それゆえに苦しんでいるという一面がありますので、深く内省を促すような精神療法は効果が少ないといわれています。

 そこで薬物療法と併用して行動療法が行われます。強迫性障害に有効とされる行動療法はエクスポージャーと儀式妨害を組み合わせた曝露反応妨害法とよばれ、50%以上の改善率が認められるとの報告があります。

 エクスポージャーとは恐れている不安や不快感が発生する状況に自分を意図的にさらすもので、儀式妨害とは、不安や不快感が発生しても、それを低減するための強迫行為をとらせないという方法です。これらを患者さんの不安や不快の状況に応じて行います。この行動療法はそれだけでも用いることができますが、強迫観念が強い場合は、薬物療法後に行われます。

 薬物療法としては「セロトニン系」に作用する抗うつ薬は強迫観念を抑えることが知られており、現在の日本では、「セロトニン再取り込み阻害薬」を使っての薬物療法が注目を集めています。

 薬物療法は効果が現れるまで少なくとも6〜8週間かかりますので、焦らずに薬物の服用を継続することが大切です。また、薬物治療で効果が見られた場合でも、早期に中断すると症状が再燃することが多いため、長期間にわたっての薬物治療を継続する必要があります。



強迫性障害 原因


 強迫性障害の発症に至る完全な原因はわかっていません。強迫性障害の患者さんの共通点として、もともと、几帳面であったり、完璧主義で生真面目な性格の人に多くみられる傾向があるようです。これらの性格と障害の因果関係はよくわかっていませんが、強迫性障害は特別なきっかけがなしに徐々に発症してくることが多く、近年では、原因は心因よりも、脳内の特定部位の障害や、セロトニンなど脳内の神経伝達物質のバランスに異常が見られると推定されています。

 こういった、脳内部の化学的な働きの不具合によるものと、心理的な要因および体質などが複雑に関係して発症するのではないかと考えられます。また双生児研究から、遺伝的な要因や、親や兄弟に強迫性障害があると強迫障害を起こす可能性が高くなります。

 また、幼児期に溶連菌感染による高熱から急に強迫性障害を起こす子どもがいますが、こうした子どもの場合は,溶連菌感染によって引き起こされた、自己免疫反応による大脳基底核の障害が原因であると考えられています。



強迫性障害 治療


 強迫性障害といっても、一人一人の強迫観念の内容や罹病期間などが異なるため、その症状の現れ方や、患者さんとの相性をもとに、それに適した精神療法と薬物療法が用いられます。

 強迫性障害は、患者さん自身が、強迫観念や、強迫行為を意味のないことだと認識しています。認識しても繰り返してしまい、それゆえに苦しんでいるという一面がありますので、深く内省を促すような精神療法は効果が少ないといわれています。

 そこで薬物療法と併用して行動療法が行われます。強迫性障害に有効とされる行動療法はエクスポージャーと儀式妨害を組み合わせた曝露反応妨害法とよばれ、50%以上の改善率が認められるとの報告があります。

 エクスポージャーとは恐れている不安や不快感が発生する状況に自分を意図的にさらすもので、儀式妨害とは、不安や不快感が発生しても、それを低減するための強迫行為をとらせないという方法です。これらを患者さんの不安や不快の状況に応じて行います。この行動療法はそれだけでも用いることができますが、強迫観念が強い場合は、薬物療法後に行われます。

 薬物療法としては「セロトニン系」に作用する抗うつ薬は強迫観念を抑えることが知られており、現在の日本では、「セロトニン再取り込み阻害薬」を使っての薬物療法が注目を集めています。

 薬物療法は効果が現れるまで少なくとも6〜8週間かかりますので、焦らずに薬物の服用を継続することが大切です。また、薬物治療で効果が見られた場合でも、早期に中断すると症状が再燃することが多いため、長期間にわたっての薬物治療を継続する必要があります。

 

強迫性障害 種類


 強迫症状の内容には個人差があり、人間の持つあらゆる心配事が要因となり得ます。これらは比較的よく見られる特徴的な症状です。これらの症状はそれぞれ患者さん自身の強迫行為は異なり、一人の患者さんが複数の強迫症状を持つことも多くあります。

不潔強迫
潔癖症とも言われている。手の汚れが気になり、手や体などを何度も洗わないと気がすまない。体の汚れが気になるためにシャワーや風呂に何度も入る等々。ただし、本人にとって不潔とされるものを触ることが強い苦痛となるため、逆に身体や居室に触れたり、清掃することができずに、かえって不衛生な状態に発展する場合もある。

確認行為
確認強迫とも言います。外出や就寝の際に、家のやガスの元栓、窓を閉めたか等が気になり、何度も戻ってきては執拗に確認する。また電化製品のスイッチを切ったか度を越して気にする等々。

加害恐怖
自分の不注意などによって他人に危害を加える事態を異常に恐れる。例えば、車の運転をしていて、気が付かないうちに人を轢いてしまったのではないかと不安に苛まれて確認に戻るなどの行為。赤ん坊を抱いている女性を見て、突如としてその子供を掴んで投げてしまったり、落としたりするのではないかというような、常軌を逸した行為をするのではないかという恐怖も含まれる。

被害恐怖
自分が自分自身に危害を加えること、あるいは自分以外のものによって自分に危害が及ぶことを異常に恐れる。例えば、自分で自分のを傷つけてしまうのではないかなどの不安に苛まれ、鋭利なものを異常に遠ざけるなど。

自殺恐怖
自分が自殺してしまうのではないかと異常に恐れる。

疾病恐怖
または疾病恐怖症など。自分が重大な病や、いわゆる不治の病などにかかってしまうのではないか、もしくは、かかってしまったのではないかと恐れるもの。HIVウイルスへの感染を心配し、血液などを異常に恐れたりするものも含まれる。

縁起恐怖
縁起強迫ともいう。自分が宗教的、もしくは社会的に不道徳な行いをしてしまうのではないか、もしくは、してしまったのではないかと恐れるもの。信仰の対象に対して冒涜的な事を考えたり、言ってしまうのではないかと恐れ、恥や罪悪の意識を持つ。

不完全恐怖
不完全強迫ともいう。物を秩序だって順序よく並べたり、対称性を保ったり、本人にとってきちんとした位置に収めないと気がすまず、うまくいかないと不安を感じる。例えば、家具や机の上にある物が自分の定めた特定の形になっていないと不安になり、これを常に確認したり直そうとする等の症状。物事を進めるにあたって、特定の順序を守らないと不安になり、うまくいかないと最初から何度もやり直したりするものもある。

保存強迫
自分が大切な物を誤って捨ててしまうのではないかという恐れから、不要品を家に貯めこんでしまうもの。本人は不要なものだとわかっている場合が大半のため、自分の行動の矛盾に思い悩む場合がある。

数唱強迫
不吉な数やこだわりの数があり、その数を避けたり、その回数をくり返したりしてしまう。数字の4は「死」を連想するため、日常生活でこの数字に関連する事柄を避けるなどの行為。

順序・左右対称への強迫
例えば、歩く時に必ず決まった足から踏み出さなければならないという強迫観念に支配されてしまいます。何度もやり直したりするなど、自然に歩くことが困難になります。服の着替えや入浴を、一定の順序で行わなくてはならないと感じ、間違うと戻ってやり直したりするため、ひとつの行為に時間がかかります。また書類がすべて順番に並んでいないとイライラしたりするなど、物の配置などに強いこだわりを見せます。