子供の病気

子供の病気と応急手当

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けいれん

 まず、けいれんで死ぬことはありません。筋肉が自分の意思とは関係なく収縮する状態がけいれんです。収縮が続けて起こっているときは手足がピーンと伸びた状態で、「強直性けいれん」といいます。
 また収縮が断続的に起こってピクンピクンと動くときは「間代性けいれん」と呼んでいます。「ひきつけ」はけいれんとほぼ同じ意味で、特に全身性けいれんに対して使われます。
 子どもがけいれんで、特に全身けいれんを起こし、呼んでも答えず、白目を出し、くちびるが紫になっているようなときは、親はびっくりして今にも死んでしまうのかと思います。しかし、長く続くときでも、けいれんのため死ぬようなことはありません。


症状をよく観察する
 けいれんが左右両方の手足や顔に起こっているか、それとも片方だけ、あるいは一方の手か足だけ、またまぶたとか口だけか見てください。
 手足がピーンと固く伸びているだけか、ピクンピクン、ガクガクという感じで動いているかどうかを見ます。両側の全身けいれんには、てんかん、その他の病気の場合と、単純型熱性けいれん、泣き入りひきつけのように乳幼児期を過ぎると起こらなくなって、あとに障害の残らないものもありますが、片方だけ、あるいは体の一部分だけのときは、てんかんなどの脳の異常が考えられます。
 けいれんを起こしたときに、同時に熱があるかどうかを必ず見てください。けいれんの終わった直後に体温計で調べます。


熱がある場合
 38度以上の発熱に伴っておきる全身性けいれんには、脳、その他に異常があるものと、ないものがあります。異常があるものとは、てんかん、髄膜炎、代謝異常などです。しかし、脳そのものに異常がなく、幼児期を過ぎるとおこらなくなる単純型熱性けいれんもあります。一度でもけいれんを起こしたことのある子どもは全体の5〜10%くらいですが、単純型熱性けいれんはその中でも一番多いものです。

熱がない場合
 一方、熱のない全身性けいれんの多くはてんかん、一部は代謝異常、泣き入りひきつけです。害のない泣き入りひきつけを除くと大部分は脳に、一部は代謝異常など脳以外の部分になんらかの異常があると考えられます。つまり、熱のない全身性けいれんはほとんどの場合、てんかんなどの可能性があるので、よく調べなくてはなりません。

けいれんの応急処置
 けいれんのために死ぬようなことはありませんので、あわてないで次のような処置を行います。

・周囲の危険なものを遠ざける。
 全身性けいれんでは目が上を向き、呼吸も止まって、くちびるも紫になるので気が動転し、そばのポットやお鍋を蹴飛ばしたりすることがあります。まわりの危険なものは取り除き、子どもがケガをしないようにし、あわてながらもけいれんの様子を観察します。

・頬を叩いたり、呼んだりしない。
 衣服のボタンを外し、ゆるくしてあげます。びっくりして抱き上げて、頬をたたいて名前を呼んだりしてはいけません。無用の刺激を与えると、けいれんをかえって長引かせることがあります。なるべく静かにし、大きな音や強い光で刺激しないようにします。

・吐き気があるときは、顔を横に向ける。
 吐き気、嘔吐がありそうなときは、顔を横に向けて吐物が出やすくしてやります。

・体温を測る。
 けいれんが止まった後、必ず体温を測ってください。高くなければ30分後にもう一度測ります。

熱性けいれん
 38度以上の発熱に伴っておこるけいれんで、脳炎、髄膜炎などの感染症、代謝異常、てんかんなど、はっきりした原因のないものを「熱性けいれん」といいます。熱性けいれんは子どものけいれんの中では最も多いものですが、多くは1回だけで、2回以上は30〜40%、3回以上起こす子どもは10%くらいです。年齢は1〜3歳の間に多くみられます。熱があるとなぜひきつけやすいのかよく判っていませんが、熱性けいれんの子どもの親や兄弟にもみられることが多く、遺伝的な素質が関係していると考えられています。
 熱性けいれんはほとんどの場合、ピーンと固く手足を突っ張ったあとガクガクと動かすけいれんで、体の一部だけとか左右の差がある場合は、熱性けいれんよりてんかんが考えられます。1〜2分で止まることが多いので、あわてず手当てをしてください。

熱のないけいれん
 乳幼児の発熱に伴う全身性けいれんには、脳その他に異常がる場合と、異常はなくてその後は起こらなくなる熱性けいれんとがあります。多くは熱性けいれんですが、これに対して、熱がない場合のけいれんの多くは脳に原因がありますので、よく調べてみる必要があります。そして脳に異常がある場合のうちもっとも多いのがてんかんです。てんかんはいろいろな原因でおこる脳の慢性の病気です。神経の働きは電気活動でもあるのですが、脳の一部で過剰な放電がおこることによっていろいろな症状がおこります。しかもそれが周期的に反復して起こります。この過剰な放電で起こる症状を「発作」といいます。発作のきっかけになるものとしては、チカチカする光、色や図形でおこります。例えば、子どもではテレビを見ると起こりやすいてんかん、お風呂に入るとおこりやすい入浴てんかんなどがあります。
 全人口のなかでてんかんの頻度はおよそ1%といわれています。一度でもひきつけをおこしたことのある子どもは小児全体の5〜10%ですからてんかんは、けいれんの子どものごく一部であることがわかります。しかし、その多くが2、3回以内の熱性けいれんとちがって、繰り返し発作を起こすてんかんは、長期間の治療が必要です。てんかんというと遺伝的な治らない病気というイメージがありますが、実際には後天的な原因が関係していることのほうが多く、今では80%以上が治る病気になっています。

てんかんの治療
 てんかんの治療は主に抗てんかん薬の内服です。発作型によってもっとも適当な薬を選び、まず一種類を少なめから使い、発作の起こり方、薬の血中濃度を参考に増量します。少なめから開始するのは薬の利き方に個人差があるからです。また同じ発作型にいつも同じ薬がきくとは限りません。1種類の薬で発作がおさえられないときには、ほかの薬に変更したり、2種類以上にしますが、その場合も急に変更はせず徐々に変えていきます。抗てんかん薬の多くは、飲み始めてすぐ効くことは少なく、十分な効果がえるまでにすくなくても1〜2週間はかかります。

泣き入りひきつけ
 半年から3、4歳までの子どもが、ワッと泣き出したまま呼吸を止めてしまい、体をそらし、くちびるが紫になって意識もボンヤリして、そのうち手足をピクピクさせたりするのが「泣き入りひきつけ」です。必ず泣き出したあとにおこり、せいぜい1分以内におさまり意識ももどるので、てんかんと区別できます。この泣き入りひきつけは特別の治療はしませんし。後遺症もありません。
 

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