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認知症の家族の介護のポイント

 
 愛する家族が認知症だと診断されたとき、ショックを受け、とまどい、混乱してしまうのはだれでも同じです。もし家族が認知症になったとき大切なことは認知症を理解することです。

 私たちが不安や恐怖に襲われるのは、自分が対面しているものの正体がわからないからということが多いのです。認知症についても、ともかく情報を集めること。そうすればどうすればよいかが見えてきます。

 そして、一人で、あるいは家族だけで悩んだりしないこと。周囲や地域のサポートを得ることで、力づけられたり、気持ちの余裕が生まれてきます。


介護の役割分担を決める
 認知症の進行をセーブするには、環境や家族の接し方も大きなウエイトを占めます。認知症という病気を理解して、本人の不安や苛立ちに寄り添って接すること。周りの協力を得ながら、介護サービスなどを上手に利用して、笑顔で暮らせる環境を心がけることが大切です。

 家族の協力や相互理解はお互いの負担を軽減させて健康づくりの礎となります。家族みんなが介護と向き合うためにはまず、よく話し合うことが大切です。その上で、それぞれの持つ情報を出し合い具体的な介護の役割分担を決めます。

 実際の役割分担ではそれぞれが無理なく出来ることから始めるのがベターです。例えば、直接介護が無理な子どもたちでも、買い物や掃除、洗濯など介護者が楽になれるようなお手伝いをしたり、肩もみや手足のマッサージ、ストレッチの補助など介護者の体調不良をカバーするようなサポートに廻ることもできます。

 仕事が忙しい夫なら、毎日起きたことや大変だったことを聴くだけでも良いでしょう。肝心なのは各々が自分の役割を果たし互いの負担を軽減させ健康を維持することです。互いに理解してもらえていると実感出来ていれば、長い介護を乗り越えられるのではないでしょうか。


住み慣れた環境で介護する
 認知症の介護はどう頑張っても一人ではできません。認知症は環境が変化すると症状が進むことが多いので、住み慣れた環境で過ごすほうがいいのですが、本人にとっていちばんいい方法を相談しましょう。


介護のリーダーを決める。

 中心になって介護する人、介護のリーダーを決めます。みんなの考えや意見をまとめながら、医師や介護サービスの担当者との窓口になって治療方針や介護方針を決めていく人です。認知症の本人のことをいちばん良く知っている人がなるのがベストです。


介護で心身が追い込まれないようにする。

 認知症の介護年数は平均が6、7年、10年以上という人も6人に1人弱います。途中でくたびれてしまわないためにも、それなりの準備が必要です。


愚痴をこぼせる人やねぎらってくれる人を持つ。

 アルツハイマー病の場合は体への影響はないので、元気に歩き回ることが多く、症状が進むと目が離せないことも珍しくありません。

また、どんなに一生懸命介護しても、認知症の人からねぎらいの言葉が聞けないのも。この病気の介護のつらいところです。

そのため、良き理解者や愚痴を聞いてくれる相手ないないと、心身ともに追い込まれてしまいます。

気の許せる友人や、介護体験のある友人がいない場合は、介護教室や家族の会に参加するなどして、情報交換するだけでも気持ちが楽になります。また地域の介護センターも相談に乗ってくれます。


上手に生き抜きしてリフレッシュする。

 精神的、肉体的疲労がたまってくると「いつまでこの介護が続くのだろう」と暗たんとした気持ちになってきます。また、笑顔で接することが難しくなったり、介護している人に憎しみを感じることにもなりがちです。

 介護の質は介護する人のゆとりの有無と関係します。そこで上手に生き抜きしてリフレッシュすることを心がけることが大切です。

 リフレッシュの方法は「何でも完璧にしようと思わない」「介護のことを忘れられる時間を持つ」「自分の健康に気をつける」「愚痴をこぼせる相手を持つ」等々です、

 家族に協力してもらうことも大事ですが、早い段階から介護保険のデイサービスを活用することをお勧めします。認知症の人にとっても、社会性を維持できますし、刺激も与えられ、症状の進行を遅らせる効果が期待できます。