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女性のうつ病

女性のうつ病

産後うつ病(マタニティブルー)

 産後には、ちょっとしたことで悲しくなって涙がでたり、気がめいったり、元気がなくなってしまい、赤ちゃんの世話をするのさえおっくうになったりすることがあります。妊娠中はエストロゲンやプルゲステロンが大量に分泌され、出産によりそれらが急激に減少します。このようなホルモンの大変動はストレスに対する抵抗力を減少させることになります。しかも妊娠も出産も体力を消耗させ、産後は体力も回復しないうちに授乳からおむつ交換のため夜中に起きなければなりません。身体的にも相当の負担がかかります。育児に対する不安もあります。核家族で夫が仕事人間で助けにならない、周囲に助けてくれる人もいないといったようなことが重なると、いっそう孤立感が深まります。また、母親となった妻に対して夫が女性として接することができなくなったり、逆に妻が夫が疎ましく感じられるなど、夫婦関係が変わってくることもあります。
 これらさまざまな事情から産後3日〜10日には半数ぐらいの人が軽いうつ状態になるといわれています。この時期に起こりやすい、うつ病までに至らない軽いうつ状態のことを「マタニティブルー」と呼んでいます。  マタニティブルーのほとんどは、時期の経過とともに軽くなり1週間ほどで自然に治るものです。しかし、中には本格的なうつ病(産後うつ病)となり治療が必要となることもあります。

産後うつ病の対策
一人で背負い込まない
なによりも重要なことは、子育ては両親に同じ責任があるということを理解し、夫も妻も納得しあうことです。特に専業主婦の場合には、家事や育児が女性だけに負わされる傾向にありますが、両方を一人で背負えるわけではありません。つらいときは無理せず、正直につらいと口に出して、夫に手助けしてもらいましょう

完璧主義を捨てる
何でも完璧にこなそうとすると、それができない場合にストレスを強く感じてしまいます。優等生だった人や、仕事をバリバリこなしていたキャリアウーマンほど完璧主義に人が多いようです。家事や育児には完璧をめざしても際限がありません。要所要所を押さえる程度にこなし。あとは手を抜くようにしましょう。

医療機関に相談する
つらい症状が続くときには産婦人科か精神科で相談してみましょう。症状の強いときには精神療法だけでは改善しないので、抗うつ剤を使用します。授乳中に抗うつ剤を使う場合には、母乳はやめてミルクにします。


産後うつ病は母子心中のおそれが
産後は、昔からうつ病の発症しやすい時期としてしられています。産後は、口数が少なくなったり、元気がないように見えても、周囲の人達は産後の疲れだろうと見過ごすことも少なくありません。そのことがうつ病の発見を遅らせ、その結果より重症化させてしまうことにもなりかねません。
 うつ病で最も注意しなければならないのは自殺ですが、産後うつ病の場合には子どもを道連れにするおそれがあります。うつ病では、自殺をしても他人を傷つけることはないのですが、産後間もない母親にとって子どもは分身なので、子どもを殺すことが他殺だという意識は少ないのでしょう。産後うつ病のピークは産後2週間ぐらいといわれていますが、産後しばらくたってから起こることもあるので、産後1年間は要注意期間です。