膝の痛みの原因は

膝の痛みを治す!変形性膝関節症

変形性膝関節症の悪化要因

 変形性膝関節症は、過大な荷重が膝にかかることで関節軟骨が徐々に痛み、構造が破壊されることから始まりますが、なぜ関節軟骨が破壊されるのか、その原因については、はっきり解明されていません。また、次のような人は変形性ひざ関節症になりやすく、さらに進行、悪化しやすい傾向があります。ただし、すべての人が変形性膝関節症になるというわけではありません。

・体重が重い人
・スポーツや肉体労働でひざを酷使した人
O脚やX脚の人
・背骨や骨盤、股関節。足関節などが変形している人
・太ももの筋力が低下している人
・半月版や靭帯の損傷などや、慢性関節リウマチ、痛風、偽痛風などによる膝の関節炎で、関節軟骨が傷んだ人

膝の酷使が悪化させる
 過度の活動や運動といっても、歩きすぎたというくらいでは、変形性膝関節症になりやすくなったり、悪化したりすることはありません。1日に6千歩から8千歩くらい歩くことは、むしろ望ましいといえるでしょう。しかし、階段の上り下りや山登り、ジョギング、各種スポーツなどをしすぎると、変形性膝関節症が悪化することがあります。
 歩くことと走ることでは、膝にかかる負担の大きさが違います。平地を歩くだけでも体重の約3〜8倍もの垂直方向の圧縮力が膝にかかり、階段の上り下りや、ジョギングになると、さらにその何倍もの負担が膝にかかることになります。健康な成人が1ヵ月に200キロ以上ジョギングすると、膝が痛んだり、膝に関節液がたまる頻度が明らかに高まることが知られています。

捻挫には注意
 階段の上り下りや山登り、ジョギングなどでは、膝を捻挫する可能性が高まりますが、外から力がかかり、動かせる範囲以上に関節が動いて靭帯などが傷つくことを捻挫といいますが、捻挫すると関節軟骨は傷つきやすくなります。砂利道やすべりやすい道、段差があるところを歩くときや、正座やあぐらから立ち上がるとき、横すわりするときは注意が必要です。また、ジャンプ、ストップ、ダッシュ、サイドステップ、ジグザグに走るなどのスポーツに多い動作も、膝をひねりやすいため、十分注意しなければなりません。

体重の増加は要注意
 膝は、座っているとき以外は常に体重をささえているわけですから、体重が増えるにつれて膝の負担も増し、関節軟骨が傷みやすくなり、変形性膝関節症の進行も早まります。平地を歩いているときで体重の3〜8倍、階段の上り下りや走っているときでは、その何倍もの荷重が膝にかかります。このため、体重が1キロ増えるだけで、平地を歩くときでも3キロ以上、階段の上り下りやジョギングで6キロ以上の負担がふえることになるのです。

太ももの筋肉の衰え
 高いところから飛び降りるときには、だれでも着地する瞬間には膝を軽く曲げます。着地に合わせてゆっくり膝を曲げることで、膝にかかる衝撃を緩和しているわけですが、このときもっとも要求されるのが、膝を伸ばす筋力、つまり太ももの前面にある大腿四頭筋の筋力です。膝を伸ばす筋力が備わっていないと、着地した瞬間に体重を支えられず、膝が折れてしまいます。もちろん、大腿四頭筋の筋力が必要になるのは、高いところから飛び降りるときだけではありません。何をするときでも、常に大腿四頭筋は体重を支えるという重要な役割を担っています。 大腿四頭筋の筋力が衰えると、膝を曲げながら体重を支えることができないため、膝を伸ばしたまま歩くようになります。そのため、膝の同じ箇所に大きな力が繰り返しかかり、その部分の関節軟骨が傷つき、また劣化して、変形性ひざ関節症が発症したり、悪化するきっかけとなります。

O脚やX脚は傷みを増加させる
 O脚やX脚は、膝にかかる圧力を偏らせて変形性膝関節症を発症させ、膝の痛みを起こす原因になります。たとえばO脚変形は、主に膝の内側に体重が集中するため、その部分の関節軟骨が傷を受けたり劣化しやすくなり、しだいにすり減ってきます。その結果、ますますO脚変形が顕著になり、変形性膝関節症は悪化していきます。一方、X脚変形の場合も膝の外側が集中しやすいため、ますますX脚変形がすすみ変形性膝関節症が悪化します。変形性膝関節症の場合、病気が進行する過程で、膝の内側や外側に負担が集中しやすいため、O脚変形やX脚変形が起こりやすという特徴があります。膝にこのような変形がいったん起こると、変形はより進み、痛みもますます激しくなるという悪循環が起こります。