膝の痛みと症状

膝の痛みを治す!変形性膝関節症

変形性膝関節症はこうして進行

 変形性膝関節症という病名は、症状が進むにしたがって、膝の骨や関節が変形することからつけられたものですが、最初は関節軟骨の目にみえないほどの小さな傷から始まり、何年もかけて徐々に進行します。変形性膝関節症の進行度は一般的に前期、初期、進行期、末期の4段階に分けられます。

前期・・・軟骨が変形し、衝撃吸収が低下する
 関節軟骨は粘りの弾力性に富んでいて、外力を分散、吸収する能力に優れていますが、大きな外力が繰り返しかかると、その負担に耐えられなくなって、関節軟骨の表面に小さな傷がついたり、劣化したりします。これを「軟骨変性」といいます。
 軟骨変性が進むと、関節軟骨の粘りと弾力性がしだいに失われていき、関節の持つ本来の衝撃吸収能力はだんだんと低くなります。こうして変形性膝関節症がはじまります。しかし、この時期にレントゲン写真を撮っても、関節軟骨はレントゲン写真に写らないため診断がしにくい時期です。

初期・・・関節軟骨がすり減り始める
 関節にさらに圧力がかかると、関節軟骨内部のコラーゲン線維の骨組みが徐々に破壊されて、プロテオグリカンが失われていき、少しずつ関節軟骨がすり減っていきます。こうした変化は、変形性膝関節症の前期から初期にかけて起こります。また、軟骨変性がさらに進んで関節軟骨の粘りや弾力性が失われるようになります。
 さらに荷重が集中している軟骨下骨の周辺部は、その負担を減らそうとして軟骨下骨や皮質骨を増殖させ、とげや土手のような出っ張りを作ります。この初期段階になると、関節軟骨がすり減っているためにレントゲン写真でもわかるようになります。

進行期・・・膝の変形や脚などが見立つようになる
進行期には、関節軟骨のすり減りはより進行し、レントゲン写真でも変形性膝関節症がわかるようになります。前から見て関節の形が、いわゆるO脚になったり、横から見て膝がまっすぐ伸びない状態になります。こうした変化は変形性膝関節症の進行期から末期に起こり、一度関節が変形してしまうと、それを元に戻すことはできません。また、関節の変形はより目立つようになります。関節に慢性的な水がたまっている場合も関節の変形が目立ちます。

末期・・・関節軟骨が完全にすり減ってしまう
末期になると関節軟骨が完全にすり減って、軟骨下骨が露出するようになります。軟骨下骨は露出するとさらに硬くなり、摩擦によってその表面は磨いたようになります。また、骨の変形もますます目立ってきます。レントゲン写真でも、本来の膝関節とはまったく違ったもののように見え、その形状からも、ふつうの膝の動きができないことがわかります。