膝の痛みと症状

膝の痛みを治す!変形性膝関節症

膝の健康の要「関節軟骨」

 膝関節の中で、関節軟骨はもっとも誤解されやすい部分です。よく「軟骨が突出してきて膝が変形した」などということをききますが、関節軟骨は、すり減ることはあっても、突出することはありません。また、食べ物や薬によって再生されることもありません。変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減っておこる病気なので、関節軟骨の構造や役割についてよく理解しておくことが必要です。

「関節軟骨」が衝撃から膝をガードしている。
 関節軟骨の第一の役割は、骨が受ける衝撃を吸収することです。また、関節を曲げ伸ばしするときに起こる骨と骨との摩擦を防ぐ働きもあります。骨のように硬いものどうしが、じかに接していると、衝撃がそのまま伝わるために、歩くたびに足で受けた衝撃にそのまま響いたり、衝撃のショックで骨が折れたりひびが入りやすくなります。また、関節軟骨がないと、関節を曲げるたびに骨と骨がこすれあって、骨はすぐにすり減ってしまいます。関節軟骨はわずか、3〜5mmの厚さしかありませんが、私たちが走ったり、飛び跳ねたりできるのも、膝などの関節をなめらかに動かせるのも。関節軟骨の働きによるものです。

関節軟骨の傷は修復されにくい
 関節軟骨は関節の中でもとくに重要な働きをになっていますが、体の中でもっとも修復されにくいという性質があります。私たちの体には、壊れた組織を自分で修復する能力がありますが、その働きをもっとも効果的に行うのが血液です。たとえば、骨折しても、骨折した部分に血液が集まって、たんぱく質やカルシウムなどの栄養素を供給すると同時に、骨をつくる能力のある細胞も供給するために、骨は元通りに治ります。
 しかし、関節軟骨には血管が通っていません。血液に代わりに関節液が関節軟骨に栄養を与えていますが、関節軟骨をつくる細胞が外から供給されることはないため、関節軟骨にできた傷を十分に修復できません。

関節軟骨の重要な働きを支えている「関節液」
 関節液は関節包の内部にある透明で粘り気のある液体で、ヒアルロン酸やたんぱく質を含んでいます。このヒアルロン酸とたんぱく質の表面をおおって、関節がスムーズに働けるように潤滑液の働きをしています。関節液の量は通常、数ccしかありませんが、私たちが膝をスムーズに曲げ伸ばしできるのは、関節液で覆われた関節軟骨の表面がとてもなめらかで、つるりとすべるように動くからです。
 また、関節液には、関節軟骨に栄養を与える役目もあります。血管が通っていない関節軟骨は、血液から栄養分を直接取り込むことはできません。このため、関節液が仲介となっている滑膜でつくられています。滑膜には、関節軟骨の代謝に必要な物質を出し入れする働きがあり、表面にある一層の滑膜細胞が血液から栄養分を取り込み、関節液をつくって関節内に放出しています。その一方で、古い関節液を吸収して、関節液量のバランスをとっています。