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めまい原因となる病気

めまいの症状、原因、治療

メニエール病

【メニエール病とは
「目が回って、とても立ってはいられない」、「天上や床がぐるぐる回る」などのめまいに襲われたことはありませんか?こうしためまいとともに「耳鳴り」や「難聴」などの症状があれば「メニエール病」の疑いがあります。メニエール病は、耳の奥の「内耳」に異常が起こり、めまいや耳鳴り、難聴の症状があらわれる病気です。症状が進むと、日常生活に支障をきたすこともあります。メニエール病は病気として厚生労働省の特定疾患として難病に指定されています。
 めまいというと、脳の機能障害と考えられがちですが、実は、耳に異常があっておこることが多いのです。めまいが起こると、たいていの人は「これは大変な病気かもしれない」と恐怖心にかられますが、メニエール病は生命にかかわる病気ではありません。しかし、精神的にも肉体的にも疲弊する症状があるため早期の治療が必要になります。
 メニエール病は、年齢的には30〜50歳代の働き盛りに多い病気です。職業としては、コンピュータを扱う事務系などに従事する人など、またメニエール気質といって、神経質な人、貴重面な人、まじめな人、完璧主義の人などに多くおこる傾向があります。メニエール病の詳しい原因はまだよくわかっていませんが、ストレスなど精神的な要因が、メニエール病の発病に深く関わっているからではないかと考えられています。
 メニエール病によっておこるめまいや発作はそれほど長く続きません。たいていは数時間程度で治まりますが、ある期間をおいて再びめまいや発作をくり返すのが特徴です。

 メニエール病になった約70%の人は、時々めまいがおこっても、耳鳴りや発作もそれほどひどくならず、日常生活に支障をきたすほどにはいたりません。何度かメニエール病のような症状があっても、自然に起こらなくなったという人もたくさんいます。しかし、約30%の人は、めまいが頻繁に続いたり、急速に聞こえなくなったりします。その場合はそのままにしないで、なるべく早く耳鼻咽喉科を受診するようにします。きちんと治療をすれば、症状の進行を抑えることができます。

メニエール病の症状
病名の「メニエール」というのはフランスの医師プロスパー・メニエールから名づけられました。それまで、めまいは脳の障害で起こると考えられていましたが、メニエールの研究によって内耳の障害でもめまいがおこることが初めてわかりました。
 「めまい」とひと口にいってもいろいろあります。天上や床がぐるぐる回って、まわりの風景が流れるように感じられる「回転性のめまい」や、体が浮いているように感じる「浮動性のめまい」、目の前が真っ暗になる「立ちくらみ、あるいは軽くふらつく程度のめまい」などです。これらのうちメニエール病では「回転性のめまい」が起こります。
 そして、めまいが起こっているときには「眼球振盪(がんきゅうしんとう)」という異常な目の動きがみられます。これは意思とは無関係に起こる眼球の往復運動のことで、眼球が左、あるいは右の一方に偏ったかと思うと、急に真ん中にもどるという、眼球の特異な往復運動をくり返します。メニエール病では、何も見ているわけではないのに眼球がこうした動きをします。


メニエール病の診断】
めまい=メニエール病とはかぎりません。メニエール病には診断基準があり、この基準にあてはまる場合だけがメニエール病と診断されます。
 メニエール病の特徴は2つあります。1つはめまいと一緒に、耳鳴りや難聴などの「聞こえの障害」を必ず伴うということです。耳鳴りでは「ジー」とか「ゴー」、「ザー」という音が聞こえ、また難聴では特に低い声が聞こえにくくなります。また難聴が進むと日常会話にも不自由することになります。ですから、メニエール病で特に注意しなければならないのは、めまいよりも難聴です。ただ、突然めまいが起こって立っていられなかったり、思うようにあるけなかったりすると、たいていの人は気が動転して耳鳴りや難聴のことを覚えていないのがふつうです。
 もう1つは、メニエール病ではこういった症状が1回だけでなく何回も繰り返し起こるのが特徴です。ですから、激しいめまいや発作が1回おこったからといってすぐにメニエール病とは診断できません。
 メニエール病で起こるめまいの頻度もさまざまで、年に数回という人もいますし、一ヶ月に何回もおこるという人もいます。1回のめまい、発作は20〜30分からせいぜい2時間程度で治まり、何日もめまいが続くということはありません。
 もし何日もめまいが続くようなら別な病気が疑われます。また、激しい頭痛がしたり、意識がなくなったり、手足がしびれるなどの神経症状が出たりといったことはメニエール病ではおこりません。こうした場合はメニエール病ではなく、脳梗塞や脳血栓、あるいは脳腫瘍などの疑いがあります

メニエール病は突然起こる
 メニエール病は自発性のめまいで、何のきっかけもなく、突然におこります。これに対して頭の位置を変えたり、寝返りを打ったらめまいが起こったなど、何らかのきっかけがあってめまいが起こるのは「誘発性のめまい」といってメニエール病で起こるめまいとは別のものです。
 また、めまいが激しいときには、気分が悪くなるのはもちろん、吐き気がして、実際に吐くこともあります。こうした不快な症状は「自律神経症状」といって、めまい、発作のあるときはたいていこの自律神経症状を伴います。また、胃のむかつき、顔面の蒼白、冷や汗、下痢をしたりすることもあります。


めまいが起こった時の対処は
メニエール病は、命にかかわるような重大な病気ではありませんので、家庭や職場などで、突然めまい、発作に襲われても決してあわてないで下さい。落ち着いて次のように対処します。
 まず、横になって安静にします。頭はできるだけ動かさないようにします。頭を動かすと、内耳を刺激してよけいな負担をかけ、めまいが強くなります。横になる際、耳鳴りや難聴のするほうの耳を上に向けると、症状が和らぎます。また体も急に動かさないようにして、必要があればできるだけゆっくりと動かします。
 そして、カーテンを閉めたり、照明を消したりして部屋を暗くします。メニエール病は目の瞳孔が過敏になっていますので、明るいままでは周囲が回り、物が動くのがよく見えて気分が悪くなってしまいます。
それから、テレビなどの音も小さくするか消したほうがいいでしょう。
 吐き気がしたり、気分が悪くなったりしたときは、市販されている酔い止めの薬を飲むといいでしょう。酔い止めの薬には精神を安定させる作用や吐き気を抑える作用などがありますので大変に有効です。
 しばらくこうしていると、次第に症状が治まってきます。しかし、発作が治まったからといって、そのままにしておくのはよくありません。早めに耳鼻咽喉科を受診してください。特に発作が起こるたびに、少しずつ耳鳴りや難聴がひどくなると感じる方は、早めに治療をうけることが必要です。

 ただし、めまいや吐き気のほか、強い頭痛がしたり、手足がしびれたり、ろれつがまわらなくなったり、意識が薄らいだり、物が二重に見えたりなどの症状がある場合は、メニエール病ではなく、脳の障害などの「危険な状態」が起こっていると考えられますので、すぐに救急車を呼んで医療機関に行ってください。

メニエール病の原因
 メニエール病の原因は現在のところ不明ですが、その要因は内耳にできる「内リンパ水腫」であることがわかっています。内耳にリンパ水腫が出来てしまうことによって、神経が圧迫されるため、感覚細胞に異常をきたして難聴や回転性のめまい、吐き気などが引き起こされると考えられています。
 しかし、「なぜこのような症状が起きてしまうのか」ということについては、現在のところはっきりとわかっていません。
 メニエール病は、年齢的には30〜50歳代の男性に多いという傾向があります。この年代の人はストレス、疲労の度合いも高く、無理をしがちな年代といえ、精神的に追い詰められた人や、長期間に渡って大きなプレッシャーを感じていた人がメニエール病を発症しているケースが多いことから、精神的なストレスがメニエール病の大きな要因として挙げられます。
 また、メニエール病にかかる人の性質を「メニエール気質」といわれることもあるように、神経質な人、貴重面な人、まじめな人、完璧主義の人などに多くおこる傾向があります。なお、遺伝による原因はほとんどないようです。