人間は誰でも、これからあらわれる不快なできごとに対する情報を事前に知っておくことにより、本番のときにはうまく対処できる能力を持っています。あらかじめ、きっと起きるという自分にとってマイナス情報を手に入れておくと、禁煙開始後のストレスを減らすことができます。
禁煙すると、離脱症状(禁断症状)が表れます。タバコという依存性薬物を常用してきたわけですから、医学的にも当然のことです。この不快な症状は2〜3日を頂点に5日〜7日ほどで収まっていきます。その見通しを知っておくことが大切なのです。
離脱症状には対処法がありますから、不安に思う必要はありません。事前に喫煙したらこういう症状が出るという現実を知っておくことで心の準備が整います。依存が強くて、これまでの禁煙で離脱症状が強く出た人は、一時的なニコチン薬剤の併用という方法もあります。また、ニコチンガムやニコチンパックを適時取り入れるなど、工夫をするのがよいでしょう。
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■タバコを止めたあとの禁断症状と身体の回復について。
□止めてから最初の20分
血圧が正常になる。脈拍が減る。血流が回復し、手足の温度が上昇し始める。約半数の人に、うつ、集中力の低下、約4分の1の人にニコチン離脱症状が表れる。
□止めてから最初の8時間
酸素濃度が上昇して呼吸が楽になる。心臓発作の確率は低下する。
□止めてから最初の24時間
血液中の一酸化炭素濃度が正常になり、肺は不純物を除き始める。ニコチンの離脱症状はここからの48時間がもっともつらい。
□止めてから最初の48時間
味覚や嗅覚が回復する。体内のニコチンは完全に消失。
□止めてから最初の72時間
喫煙刺激による気管の狭窄がとれ、呼吸量がふえて息をするのが楽になる。肺気腫の病的な進行が止まる。
□止めてから2週間から3ヶ月後には
血液の循環が良くなり、歩行が楽になる。ほとんどのニコチン離脱症状は消失。ストレスレベルも低下する
□止めてから3ヶ月後から9ヶ月後には
咳の回数が減り、鼻づまりがおきにくくなる。疲れにくくなり、息切れも軽減する。気道の掃除機能であるせん毛が再生してくるので、気道内はクリーンに保たれるようになり、呼吸器の感染症にかかりにくくなる。肺気腫も5〜10%改善すると言われている。 |
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