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増悪(ぞうあく)への対応は

 
 かぜをひいても健康な人はふつう数日で治まります。ところがCOPDの人の場合は、かぜをひくと、息切れなどCOPDの症状や全身状態が大きく悪化することがあります。

 このように、症状が安定期より悪化して、いつもの治療では改善できず、治療内容を変更しなければならない状態を「増悪(ぞうあく)」といいます。

 増悪の多くは、かぜやインフルエンザなどがきっかけで起こります。そのほかに空気中の有害物質を吸い込んで起こることもあります。

 増悪が起こると、肺の機能は安定期より著しく低下して、いつもより強い息切れが起こり、タンやせきが増えます。そのほか、発熱や危機的状況、発作、パニックなども起こることもあります。


憎悪は回復に時間がかかる
 憎悪で症状が悪化するのには数日かかることもあれば、数時間のこともあります。一方、憎悪の状態から安定期の状態に戻るには3〜4週間かかります。回復の途中で再びかぜをひいたり、薬をのむのを怠ると、憎悪は何ヶ月にも及ぶことがあります。

 憎悪が長引くと、いつものように動いたり食べたりできず、筋力が低下したり体重が減少したりしがちで、憎悪をくり返すと、落ちた体力や体重をもどすのも容易ではありません。

 憎悪をくり返して状態が悪化していくと本人がつらい思いをするだけでなく、家族に介助の負担がより多くかかることにもなります。

 このような事態をさけるためにも「憎悪が起きたら早めに対応する」、「憎悪をくり返さない」ことが大切です。


早めに対応する
 憎悪の前兆が起きたとき、たいしたことはない、もうすこし様子を見よう、など軽く考えたり、受診を迷ったりするうちに、より重症化することもありますので、48時間以内に治療をうけることが大切です。

 体を動かしたときだけでなく、静かにしているときでも息切れが起こるときは憎悪が疑われます。

 またタンの変化も重要です。タンは通常は無色か白い色をしていますが、黄色みをおびて粘り気のあるタンが出たり、量が増えた時にも憎悪が起きている可能性があります。何らかの前兆が見られるときには、まずは受診するようにしてください。