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統合失調症Q&A
  統合失調症の原因、症状、治療
統合失調症Q&A
 
 統合失調症の発症率と発症年齢は
 統合失調症には何か前兆があるのでしょうか
 統合失調症と似た症状の病気はありますか
 統合失調症は治りますか
 統合失調症は遺伝しますか
 両親の育て方が影響するのですか
 治療はどのように行われますか
 どんな場合に入院が必要ですか
 治るまでにどのくらいの時間がかかりますか
 再発を防ぐにはどうようにしたらいいですか
 病院に行きたがらないのですがどうしたらいいでしょうか
 精神科リハビリテーションはどのようにするのでしょう
 家族はどのようにサポートすればいいですか
 将来結婚して、子どもを生むことができますか
 どこに相談すればいいのですか
 

統合失調症の発症率と発症年齢は
世界中のどのような民族においても、統合失調症の発症率はそれほどかわらないといわれています。その発症率はおよそ100人に1人の割合になります。これからわかるように統合失調症は一般的な病気です
 
統合失調症の発症年齢は20代前半が最も多く、次が10代後半と、30代前半です。男性のほうが発症や年齢はやや早い傾向があり、年齢が早いほど治療後の回復が思わしくないケースが多いともいわれています。
 学校を卒業して社会人として歩み始める時期や、結婚、出産、育児の適齢期と重なることも多く、職業の選択を含め、ライフプラン全体に大きな影響を与えることが少なくありません。


統合失調症には何か前兆があるのでしょうか
陽性症状とよばれる、幻覚や妄想が現れる前に、さまざまな心身の不調があらわれる「前駆期」とよばれる時期があり、その平均的な長さは5年くらいといわれています。
 抑うつ、焦燥、不眠、意欲の低下などの症状が中心ですが、認知機能障害が起こる場合や、軽い幻覚や妄想を訴える場合もあります。そのため学校の成績が低下したり、友人付き合いが減ったりしがちですが、思春期特有の問題として片付けられてしまうことも多く、家族も気づかないことも珍しくありません。何かおかしい、と感じたら早めの受診がいいでしょう。


統合失調症と似た症状の病気はありますか
うつ病や躁うつ病は、統合失調症との症状の重なりも多く、見分けるのが難しい場合があります。また、統合失調症と症状が似ていても、原因や治療方法が全く異なる病気もあります。たとえば、違法な薬物の使用や、大量の抗パーキンソン薬の副作用によって幻覚や妄想が起こることがあります。また、側頭葉てんかんやウイルス性脳炎、脳腫瘍のような脳の病気でも、統合失調症に似た精神症状が現れることがあります。


統合失調症は治りますか
統合失調症は薬により症状を軽減することができ、落ち着いて日常生活を送れるようになります。ただし、生活のしづらさや、能力の低下が残ることが少なくありません。よくなったからといって服薬をやめたり、日常生活で無理をしたりすると再発しやすい病気です。再発を繰り返すと症状が重くなり回復にも時間がかかるようになりますので、症状が落ち着いても治療を継続し、再発を防止するように努めることが大切です。


統合失調症は遺伝しますか
統合失調症の原因は今のところよくわかってはいませんが、同じ家計に、統合失調症やほかの精神病をもつ人が多くみつかることはよく知られています。そのことから遺伝の影響もあると考えられています。しかし、統計によると、統合失調症の親から生まれた子が統合失調症になる率は13%程度となっており、それほど高い割合ではありません。発病には環境やストレスなど他にも要因がいくつもあると考えられており、単純に遺伝だけの問題ではありません。


両親の育て方が影響するのですか

統合失調症は、主として脳内のドーパミンという神経伝達物質が過剰に分泌されすぎ、情報処理がうまくいかなくなるという説が挙げられています。こうした因子に、一般的にはその人がもっている体質的なもろさにストレスが加わり、バランスを崩して発症すると考えられています。両親の育て方が悪かったから統合失調症になったと考えるのは間違いです。
 しかし、発病してからの経過には、家族との関係が大きく影響してくることがわかっています。より良く病気を回復させ再発しないようにするためにも、家族が患者さんのことや病気のことを十分に理解して協力してあげることが大切です。


治療はどのように行われますか
統合失調症の治療は薬物療法を中心に行い、急性期を過ぎて症状がよくなってきたら、自立した生活をするためのリハシリテーションを並行して行います。薬物療法では脳内で過剰になっている神経伝達物質の働きを調整して症状を改善していきます。薬は比較的副作用が少ない「非定型抗精神病薬」が多く使われますが、症状がよくなっても服薬を続ける必要があります。
 そして、薬による治療に併せて、十分に休養をとることも大切です。十分な休養をとって心身の元気を取り戻し、症状も安定してコントロールできるようになればリハビリテーションを行っていきます。本人の社会生活感覚を取り戻すために、さまざまな社会復帰のプログラムや支援施設があります。


どんな場合に入院が必要ですか
通院と入院のどちらで治療を行うかについては、本人の意思を尊重した上で、さまざまな状況を考慮して判断されます。統合失調症の人は病気を自覚していない人も多いので、必要な治療を受け付けない場合は、本人が希望していなくても入院治療を行うことがあります。また、幻覚、妄想が強くて本人の行動に問題がある場合や、自分や周囲の人を傷つけるおそれがある場合なども入院が必要となります。


治るまでにどのくらいの時間がかかりますか
個人差が大きい病気なので、回復までの時間も人によって違います。発症後の経過は「急性期、消耗期、回復期、寛解期」に分けられますが、激しい陽性症状が見られる急性期は数週間から数ヶ月です。
 しかし、その直後にみられる消耗期は、短ければ数ヶ月ですが、長い場合は年単位になることもあります。回復期を経て寛解期になると、落ち着いて日常生活を送れるようになりますが、そこに至るまでに再発して、急性期にもどってしまうこともあります。また発症からおよそ5年間が治療の重要な時期だと考えられています。


再発を防ぐにはどうようにしたらいいですか
統合失調症は再発をすることも多く、抗精神薬の服薬を中断すると、およそ9割の人が数年以内に再発するといわれています。何よりも大切なことは、服薬を自己判断でやめないことです。また、環境や人間関係の変化でストレスが溜まると、再発のリスクが高まるので注意が必要です。起こりっぽくなった、落ち込むことが増えた、などの変化が見られたら、再発の予兆の可能性がありますので、ゆっくり休養をとるなど、早めに対処しましょう。


病院に行きたがらないのですが・・・
統合失調症の人は、病院に行きたがらないことがよくあります。自分が病気であること受け入れないことが多く、病院にいって治療した方がよいと家族が説明しても、本人がそれを理解して納得することが難しいといえます。
 まず、本人の気持ちをよく理解して、現在の生活と今後のことについて、本人が自分の問題として考えられるように話し合うのが良いでしょう。その上で、保健所の精神保健相談を訪ねてみるとよいでしょう



精神科リハビリテーションはどのようにするの
精神科リハビリテーションとは、人の集まるところで感じるストレスにうまく反応できる力を身につけ、仕事に生かせる技術や人との接し方などを学ぶことができ、スムーズに安定した生活を送れるように手助けをするものです。人によって症状も性格も違いますので、どのようなリハビリテーションを利用するかについては、医師と相談して行っていきます。


家族はどのようにサポートすれば良いですか
統合失調症を発症しても、本人は自分が病気であるという自覚が乏しいので、家族が受診をすすめ、初診時には家族が診察の場に同席するようにします。その後も何か変化に気づいたら、家族から受診をすすめる必要があります。統合失調症に関する正しい知識をもち、服薬をきちんと継続できるようにサポートします。また、強い感情をぶつけて統合失調症の人にストレスを与えないように、接し方にも注意します。


将来結婚して、子どもを生むことができますか
恋愛によって精神的に不安定な状態になると、それが再発につながる場合もあります。しかし、適切な治療を続けて、周囲のサポートがあれば、幸せな結婚生活を送ることは十分に可能です。また、妊娠、出産の際は、薬の調整が必要になるので、医師よく相談する必要があります。


どこに相談すればいいのですか

精神科病院、総合病院の精神科、精神科クリニックなどには、統合失調症をはじめとした専門的な知識を持ち、生活をサポートする医師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士などがいますのでそこを受診するようにします。
 病院に行くのに抵抗を感じる人は、地域の精神保健福祉センターや保健所に行かれる方法もあります。また、家族が悩んでいる問題について、積極的に取り組んでいる家族会が全国各地にありますので、相談してみるのもいいでしょう。