セキセイインコの巣引きの仕方
 
巣引きについて

 オスとメスを一つのケージに飼って、交尾、産卵させて、ヒナを育てることを「巣引き」といいます。巣引きは、小鳥を飼ううえで、最も大きな楽しみの一つでしょう。

 セキセイインコは季節に関係なく発情をします。1回巣引きに成功すると1年間に5回くらい巣引きを繰り返します。ただし、1年中巣引きさせているとメスが疲れてしまい、じょうぶなヒナが産まれなかったり、メスが早死にしてしまうことがあります。そこで、夏季や冬季はオスとメスをはなして休養させることが必要です。

 巣引きは、メスよりすこし年上のオスをつがいにすることが望ましく、また同じ親からかえったものどうしや、ちがう品種のものをつがいに組まないようにします。



巣箱を用意する

 セキセイインコの巣箱は木製で、15cm四方、高さ20cm位の大きさです。巣箱の上のほうには鳥が出入りするための4cmほどの穴があいています。そして、下には扉がついています。

 この扉は卵が有精卵か無精卵かを調べるときなどに開けるものですので、それ以外は開け閉めしてはいけません。

 巣箱の中は2段になっていて、下の部屋が産室です。産室の底板には直径10cmくらいのくぼみがあります。これは「卵寄せ」といって産んだ卵が散らばらないためのものです。

 巣箱はケージの奥に設置します。ケージの底の桟に直接置いても、少し高いところに置いてもかまいません。

 巣箱を入れたケージはあまり日のあたらないところに置きます。または、ケージに薄い布をかけます。いずれにしても、親鳥が落ち着けるように人の出入りが少ないところに置きましょう。エサや水を取りかえるのもそっと行うようにします。

アラタ セキセイ巣箱a9


発情から交尾の様子

 尾羽や頭を振ったり、キスをしたり、オスがメスに口うつしでエサをやったりしているうちに、メスが尾羽を持ち上げる動作をします。オスはメスの上に乗って交尾します。

 このころメスは盛んに巣箱に出たり入ったり、巣箱のあちこちをガリガリかじったりしはじめます。巣箱をかじるのは卵寄せに木くずを集めて産卵の準備をしているからです。やがてメスは巣箱にこもりがちになり、ほとんど出てこなくなります。そろそろ産卵も時期になります。



産卵をしたかどうかの確認の方法は

 メスが巣箱にこもってしまうと、いつ卵が生まれるのかが気になります。しかし、巣箱の扉を開いてたしかめるのは絶対してはいけません。産卵中に扉を開けたりすると、親鳥が卵をたべてしまうことが少なくありません。そうなると、その鳥は卵をたべるのが癖になってしまい、その後も産んだ卵はすべて食べてしまいます。

 産卵したかどうかを知るには、メスのフンに注意するとわかります。メスがいつもより大きなフンをしているようなら産卵が始まったと思って間違いありません。産卵のために排泄孔が大きくなったのです。

 セキセイインコは、ふつう1日おきに合計5〜6個の卵を産みます。セキセイインコのメスは、2番目の卵を産んだころから、抱卵に入り、巣箱からはほとんど出てきません。卵をあたためるのはメスだけです。



順番にヒナがかえりはじめる

 卵をあたためはじめてから17〜18日くらいたつと、いちばん初めに産んだ卵と2番目の卵からヒナがかえります。その後3番目以降の卵から1日おきにヒナがかえっていきます。

 卵が全部かえるまでは、メスは巣箱をはなれません。その間はオスがメスにエサを運びます。オスは巣箱までいきメスにエサを与え、ヒナにエサを与えるのはメスです。

 この時期にも、扉を開けてヒナがかえったかどうかを調べたり、ヒナの様子を見ようとするのは厳禁です。

 産卵の日から17〜18日くらいたつと、いちばん初めに産んだ卵と2番目の卵からヒナがかえります。そのころからケージのそばによって耳をすますと、ピィピィというヒナの小さな鳴き声が聞こえてくるようになります。声が聞こえてきたら、ヒナが生まれて3〜4日たっています。

 産まれたばかりのヒナは、まだ毛が生えていません。目もみえません。からだはぐにゃぐにゃとした感じでなんとも頼りないようすをしています。



エサの栄養と量に注意する

 ヒナにエサを与えている時期は、親鳥はふつうの3倍ほどのエサを食べます。とくに殻付きのエサを与えているときは、中身をたべたあとの殻がエサ入れに残っているために、一見すると、まだ大丈夫と思っていたら、実はエサが全然なかったなんていうこともありますので注意しましょう。

 野菜も毎日たっぷり与えます。セキセイインコは、ふだんはそれほどでもありませんが、この時期は、オス鳥はせっせと野菜を巣箱に運ぶようになります。ボレー粉もたくさん与えます。オスが運んでくるエサをたべてヒナはどんどん成長していきます。生後7日目くらいになると目も見えてきます。



生後5週間ほどで巣から出す

 ヒナが巣箱から出てくるのは、生後5週間前後です。なかには生後4週間あたりから、巣箱からちょっと出てきてはすぐに巣箱にもどることを繰り返しながら巣立っていくものもあります。また、生後5週間がたっても、なかなか出てこないものもあります。そんな時には、そっと巣箱から出してあげます。

 巣箱から出てきたヒナは、もう親鳥とかわらない大きさで尾羽も半分以上伸びて、しっかりと飛ぶことができます。

 ヒナが巣立ったあとは、親鳥はもう次の巣引きの時期になります。巣立ってから4〜5日ようすを見たら、親鳥と離して育てることになります。



巣立ちのあとの育て方

 若鳥を親から離して別のケージに入れたあと、最初のうちは、エサはケージの底に直接まいておきます。エサ入れまでいかなくても食べられるので、若鳥はすぐにエサの食べ方を覚えます。エサは原則として親鳥と同じものでかまいません。

 この時期はケージにまだ止まり木はつけないようにします。止まり木をつけると若鳥は止まり木にとまったまま、底にまいたエサをたべなくなってしまうからです。若鳥がなかなかエサを食べないときは、さしエサにします。



巣引きの一般的なカレンダー

発情〜交尾が終わって・・・

1日目

1個めの卵を産む

※セキセイインコは1日おきに5、6個の卵を産みます

3日目

2個めの卵を産む

2個めの卵を産むとメスは卵をあたため始めます

9日目

5個めの卵を産む

※産卵数が5個の場合はこれで産卵終了

17〜20日目

最初の卵と2番目の卵からヒナがかえる

※産まれたばかりのヒナは赤はだかです。1日おきに3番目、4番目、5番目の卵からヒナがかえる

27日目くらい

ヒナの目が見えるようになる(生後1週間)

1ヶ月目くらい

ヒナに毛が生えてくる(生後2週間)

1ヶ月ちょっと

産毛が生えそろってきます

※ピィピィと盛んに鳴いています。手のりにする場合は親鳥からはなす時期です(生後3週間)

1ヶ月半くらい

産毛が生えそろう。尾羽がのびてくる(生後4週間)

2ヶ月目くらい

巣箱からヒナが出てくる

※そろそろ巣立ちです。巣立ったヒナは親鳥と離して飼います(生後5週間)ヒナが巣立つと親鳥は次の産卵期に入ります。


巣引きの時期に注意すること

 鳥が落ち着いて産卵できるように、ケージは人の出入りの少ない場所に置いてあげるようにします。

 巣引き中は巣箱の中やケージはよほど不潔でないかぎり掃除はしないようにします。掃除をするときはできるだけ静かに簡単にすませるようにしてください。

 栄養に気を遣いましょう。ビタミン類を豊富に含む青菜や、ボレー粉などのミネラルを毎日かかさないようにします。

 ふかしたヒナが床に落ちていないか注意をします。落ちていたらそっと巣にもどします。

 巣箱の中をのぞいたり、触ったりしないようにします。

 難産や卵づまり、その他、様子がおかしい場合はお医者さんに診てもらう。