セキセイインコの病気
 
鳥は病気をかくす

 鳥は、人前では元気にふるまう性質をもっています。相当に体調が悪くても人の気配がしたり、人の姿を見たりすると、からだをキリッとしまらせて動こうとします。

 ですので、セキセイインコの人のいないときの様子、人を意識していないときの様子をよく観察するようにしてください。人のいないとき、人を意識していないときの鳥が、居眠りしていることが多いときには、どこか体調が悪いと思ってください。おかしいと思ったときには、なるべく早く獣医さんにみてもらいましょう。



下痢をする、便秘をする

胃腸炎
下痢や便秘があり、エサを食べない、元気がなく、羽毛を逆立て眠っている。
原因
エサや飲み水の腐敗、エサの配合ミス
治療
下痢で汚れた肛門などをきれいにふいて清潔にします。その後、サルファ剤を与えます。便秘にはオリーブ湯をスポイトで肛門にさして浣腸します。



腸炎
元気がなく、羽毛を逆立て眠っている。
原因
多くは寒さによるものです。偏食や寄生虫、伝染病など
治療
保温に気をつけて、できるだけ早く専門医に診てもらいます



脱腸(ヘルニア)
下腹部が腫れて、便秘がちになりエサを食べない
原因
産卵時にりきみすぎたり、人に踏まれたりと原因はいろいろ。栄養不足から筋力が低下して起こることも
治療
専門医に手術してもらいます



肝炎
便秘や下痢をくり返す。苦しそうに呼吸をする。嘔吐する
原因
細菌感染。伝染病や腸炎から起こることも
治療
細菌が原因の場合は、タンパク質やビタミンCが豊富なエサと栄養剤を与える



クラミジア(オウム病)
元気がなく、羽毛を逆立てている。食欲がなく、緑色の下痢をしたり、鼻水を出したりする
原因
クラミジア菌によって起こる
治療
抗生物質を飲み水に混ぜて与えるか、注射します。



エサを食べない、吐く

胃内異物
エサを食べない、衰弱する
原因
ケージから出たときにボタンやビニール、プラスティク、布の切れはしなどを飲み込んでしまった
治療
専門医にX線で体内を調べてもらう。必要ならば切開手術をして異物を取りだす



痛風
内蔵型はエサを食べなくなり、衰弱する。関節型は足を引きずったり、不自由な歩き方をする
原因
寒さや湿気、タンパク質の取りすぎ、ビタミンA不足
治療
タンパク質を多く含むエサを避けて、野菜などビタミンAの豊富なものを



食滞
食道の途中にあるそのうにエサがたまっているせいで、食欲不振になり、だんだんと衰弱して、苦しそうな呼吸も
原因
細菌感染、飲み水の不足、エサや環境の変化
治療
スポイトでぬるま湯を飲ませ、膨らんでいる部分を静かにマッサージします。それでもエサが胃に送られないようだったら専門医に



そのう炎
食欲不振や嘔吐。水をさかんに飲みたがることも。
原因
そのうがうまく働かなくなるためにおこる。殺虫剤やペンキの臭いの刺激臭から。細菌感染、神経障害など
治療
細菌が原因のときは抗生物質をあたえる。



いつもと行動が違う

食卵癖
自分の産んだ卵、仲間の産んだ卵を食べてしまう病気
原因
カルシウム不足
治療
卵を産んだら擬卵とすりかえます。これを何回か繰り返します



栄養性脚弱小(クル病)
足やゆびの関節が曲がったり、逆にまっすぐにのびたままになったりして、立つ、歩く、飛び降りるなどの動作がうまくできなくなる原因
栄養不足、細菌や寄生虫の寄生
治療
早めに専門医の診察を受ける



毛引き症
自分の羽毛をくちばしで抜いてしまう。
原因
退屈さや、さびしさなどのストレスによって起こる
治療
仲間を増やす、おもちゃを与える、一緒に遊んであげる、大きなケージに移して運動量をふやす。それでも羽毛をぬくようだったら、厚紙やプラスティックでつくったカラーを首のまわりにつけるようにします。


神経症
体をけいれんさせる。奇怪な動作をする
原因
細菌やカビの感染でおこる場合と、脳の腫瘍が原因のものもある。
治療
治療方はありません



腫れものができた

角結膜炎
まぶたが腫れて、涙をたくさん出し、病気のほうの目をしきりにまばたきする。
原因
何かにぶっつけたり、ひっかいたりしたときのキズ。目にゴミが入る。細菌やウイルスの感染など。
治療
キズが深いときには手術が必要



カナリア病
涙がたくさん出て、まぶたが腫れ、できものが出る。呼吸困難になったり、食欲がなくなったり、下痢をすることも。
原因
カナリア病ウイルスに感染
治療
早めに専門医の診察を



気のう破裂
頸部が異常に腫れて、呼吸をするとピクピク動く。
原因
頸部にある気のうが何かのショックで破れたため
治療
専門医に、皮下にたまった空気を注射で抜いてもらう。



甲状腺腫
のどの両側が豆粒くらいの大きさに腫れて、元気に鳴くことができなくなる。苦しそうに呼吸をすることも。
原因
エサの中のヨード分不足から起こる
治療
飲み水30ccに対して、1滴程度のヨード剤を溶かして与える。



寄生虫による病気

寄生虫には鳥のからだの外部(羽毛や表皮)などに寄生して、血を吸ったり、羽毛を食害したりする外部寄生虫と、体内に寄生する内部寄生虫があります。

外部寄生虫による病気は治療が簡単ですが、内部寄生虫は専門医による治療が必要です。そして早期発見がポイントですので、毎日必ずフンの観察をして、変化があればすぐ専門医に診てもらいます。


疥癬症(かいせんしょう)
目の周囲やくちばし、肛門、あしなどに白っぽいかさぶたのようなものができ、かゆがって落ち着きがなくなる。
原因
トリヒゼンダニという、ダニに一種が寄生して起こる
治療
ダニ駆除薬飲ませたり、塗ったり、注射したする



回虫症
フンがゆるい状態が続く。便秘になる。水を多くのみ塩土をたくさんかじるなど。ひどくなると衰弱して。死に至ることも。
原因
回虫の感染
治療
早めに専門医の診察を



条虫症
水分の多い下痢が続く。フンに白っぽい条虫の片節がある
原因
条虫の感染
治療
早めに専門医の診察を



コクシジウム症
軽い下痢が続いたり、元気がなくなる。
原因
コクシジウム原虫が腸に寄生する
治療
早めに専門医の診察を。ケージの消毒をする



トリコモナス症
初期は軽いせきをする程度。進行すると鼻汁や白っぽい粘液をだす。エサを食べなかったり下痢なども。
原因
トリコモナス原虫がのどや食道、そのうなどに寄生する
治療
すぐに専門医の診察を。ケージの消毒をする



毛線虫症(もうせんちゅうしょう)
下痢が長く続いて、だんだんとやせていく、羽毛を逆立ててうずくまることが多い。
原因
毛線虫の寄生
治療
早めに専門医の診察を



ギアルディア症
粘り気の強いフンがうまく切れずに肛門からぶらさがっている。食欲がない、なんとなく動きが鈍い。
原因
ギアルディア原虫が寄生
治療
検便をして、専門医の指示に従って薬を与える



ワクモ
夜間、羽ばたきをしてかゆがっていたり、騒いだりする。ヒナに寄生すると死んでしまうことも。
原因
ダニに一種であるワクモ寄生
治療
ケージ、飼育用具を熱湯消毒する。さらにロテノン剤やピレトリン製剤をまく。これを10日間ほど続ける。



メス特有の病気

卵づまり
元気がなく、羽毛を立てている、止まり木でうずくまっているなどのときに、腹部を触ってみて、かたくて丸いものを感じたら卵づまりです。
原因
体力の低下、急激な気温の変化。寒い時期にかかることが多い
治療
鳥のいる部屋を25〜30度にして安静にしておくと出てくることも。



脱肛

メスの肛門から赤いものが飛び出している
原因
産卵時のりきみで、総排泄孔の粘膜がひっくり返って、そとに出てしまった状態
治療
すぐに専門医に診てもらう



鳥がケガをした

足や羽の骨折
骨折には、羽、あし、あしゆびに多く、羽が抜けかわる時期や、栄養不足などのときに起こるようです。あしが骨折したときは、正常なあしだけで止まっていて、骨折したあしはブラブラさせています。両あしを骨折したときは、止まり木にも止まれず、下でうずくまっています。また、羽を骨折した場合には、羽がだらりと下がっています。

 骨折した場合には、早めにテーピングや副木などの応急処置をして病院に連れて行きます。羽を骨折した場合には、折ったりしてぐったり下げている羽をいつもの正常な形にたたんで、ビニールテープなどで固定します。また、脚などの骨折はマッチ棒やようじなどを副木として当てて、テープや糸などでまいて固定し、すぐに病院に連れて行きます。



鳥がやけどをしたときは?
 ストーブに乗ってしまったとか、熱い汁の入った鍋に落ちたとか、手のりの鳥のやけどには、人間が注意しいていたら起きなかったものがほとんどです。とくに鍋に落ちた場合の死亡率は高くなっています。

 やけどを負った場合は、まず患部を冷やさなければなりませんが、冷たい水を急にかけるよりも、ぬれタオルなどで冷やすとよいでしょう。やけどは度合いにより第1度、第2度、第3度と分かれます。しろうとには判断できませんので、獣医師にみてもらうようにします。


用意しておきたい薬や用具

 薬用オリーブ油
便秘や卵づまりを起こしたときに、肛門に数滴スポイトでさすのに使います。小鳥専用のものを用意しておきます。


 スポイト
口から薬を飲ませたり、肛門からオリーブ油をさしたりするときに用います。ガラス製のものより割る心配のないビニール製のものがいいでしょう。使ったあとは必ず洗っておきます。


 消毒液
小鳥同士のケンカなどでキズを負ったときに、患部を消毒するのに使います。人間用のものでも可能ですが、その場合は薄めて使います。


 ばんそうこう、またはビニールテープ
骨折や脱臼をしたときに、副え木として固定したり、つばさを正常な形にたたんで固定するのに使用します。人間用のものでもよい。

 脱脂綿・ガーゼ・綿棒
汚れた肛門のまわりや鼻の周辺をふいたり、出血したときの血をぬぐったりするときに使います。