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アルツハイマー病のリハビリテーション

 
 脳を活性化させるリハビリテーションも、認知症の進行スピードをゆるめたり、失われた能力を回復させる効果があります。

 アルツハイマー病の人のリハビリテーションは生活をゆったりと、しかも役割を持ちながら楽しめることが大切です。

 一般的なリハビリテーションと違うところは、個々の患者の「できること」を生かして、人との積極的な交流を保てる場を提供することで、病気の進行を遅らせたり、症状を安定させる効果があります。

 リハビリテーションには回想法や、絵画療法、音楽療法、運動療法などさまざまなものがあります。


回想法

 回想法とはアメリカで生まれた心理療法です、日本でもアルツハイマー病など認知症の人を対象に行われています。

 記憶障害は進んでいても過去の思い出は残っていることが多くあります。子どものころの遊びや、お祭り、昔使っていた生活器具など共通する話題を選んで体験を語り合います。


 懐かしい昔を思い出し、それを語ることによって脳が刺激されます。また楽しかった過去に戻ることで、一時的であれ障害の不安や混乱から開放され、こころが癒されます。

 一般に8人程度の小グループで行いますが、自分の思い出を人に共感してもらう体験をすることで、コミュニケーション能力が向上したり、不安や孤独がいやされて、情緒が安定することがあります。

 回想法の良いところは家庭などでもでき、認知症の高齢者が楽しんでできることです。


絵画療法

 アルツハイマー病の人は、左脳が受け持つ「言葉」や「理論的な思考」は苦手になりますが、感性や創造性にかかわる右脳は比較的保たれています。


 絵画療法は、感性や創造性を活性化するための方法です。鉛筆で輪郭を書いて色を塗るという普通の描き方ではなく、一筆書きや、刷毛をつかうなど、さまざまな方法で、質感や色、形を表現します。攻撃性や幻覚、妄想などの精神症状が改善されることが多いようです。



音楽療法
 音楽療法は効果の高い療法として評価されています。好きな音楽を聴く、カスタネットやタンバリンなどの簡単な楽器を奏でる、またカラオケで歌ったり、なつかしい唱歌を合唱したりと、言葉によるコミュニケーションが難しくなった人でも参加できます。

 音楽療法は脳を活性化させるばかりでなく、気持ちを落ち着かせるリラクゼーション効果もあり、食欲が増す、ぐっすり眠れる、笑顔が増えるなどの好ましい結果を生み出しています。そのため、認知症患者が利用する多くの施設で実施されています。

 音楽と思い出は密接に結びついていますから、アルツハイマー病の人は記憶が掘り起こされ、自分の人生を再認識し、自信を回復することができるようになります。 



運動療法

 酸素を取り込みながら、軽い運動を続ける「有酸素運動」は、脳の機能にもよい影響があることがわかっています。

 その点、日常生活の中でもだれでも簡単に出来るのがウォーキングです。1日30分程度のウォーキングを毎日続けることができればベストです。


 運動療法は、だれでも簡単にできるのが利点です。毎日の生活のなかに、散歩の時間をつくり、少し早足で歩くようにしましょう。家族が付き添って話しをしながら歩くとより効果的です。ともかく楽しく歩くことがポイントです。