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アルツハイマー病の症状

 
 アルツハイマー病の症状のうち、だれでも必ず起こる症状を「中核症状」といいます。多くはもの忘れ程度から始まり、時間、場所、人がわからなくなるというように進んでいきます。

 中核症状のうち、もっとも基本となるのは記憶障害です。アルツハイマー病では、早い段階から記憶をつかさどる脳の「海馬」という部位がおかされるためです。

だれでも必ず起こるアルツハイマー病の症状・・・ 「中核症状」

たった今したことを覚えていない・・・記憶障害
 ものごとを記憶することが苦手になります。とくに新しいことを覚えることができず、食べたばかりの食事のことを忘れて「食べていない」といったり、何度も同じ話をくり返すようになります。障害が進むと、新しい記憶だけでなく、古い記憶も忘れるようになってきます。


考えがまとまらない・・・判断力の低下

 自分が置かれた状況を的確に判断したり、筋道を立てて考えることが難しくなります。そのため、危険なものを回避することができず、ケガをすることもあります。

 また、考える内容が乏しくなり、質問に同じ答えを繰り返したり、自分の考えを頑固に主張することが多くなります。


簡単な計算ができない・・・計算力障害
 買い物に行って、いくら出したらよいかわからない、おつりの計算ができないといったようなことが起こります。これは簡単な足し算ができなくなるためです。


「いつ、どこ、だれ」がわからなくなる・・・見当識障害
 今が何年何月何日か、自分のいるところがどこか、自分の身の回りにいる人たちはだれか、といったことがわからなくなります。

 たとえば、「いつ」がわからない場合では、季節を間違えて、夏にセーターを着込んだりします。「どこ」がわからない場合は、よく知っている道で迷ったり、自宅のトイレの場所を探すことが多くなります。


知っているはずのもの、手順がわからなくなる・・・失認、失行
 失認は、鉛筆やはしなどといった、知っているはずのものがわからなくなることです。

 また、失行は、行動を準備よく組み立てて実行することができなくなることです。そのため、料理や、着替えなどの手順がわからなくなり、日常生活での失敗が目立つようになります。

 
 
 
 人によって現れたり、現れなかったりする症状・・・随伴症状
 アルツハイマー病の随伴症状とは、人によって現れたり、現れなかったりする症状のことをいいます。

 周囲とのかかわりかたや、その人の経験などによって現れ方が違います。随伴症状は、障害を抱えながらも、なんとか現実とうまく折り合いをつけようとして起こります。たとえば、大切な財布のしまい場所を忘れてしまい、「どろぼうが入った」という妄想に陥るのは、その一例です。随伴症状には、そうせざるを得なかったという理由があります。


うつ状態
 なんとなく無気力になり、以前興味のあったものにも関心を示さず、表情も乏しいものになります。初期の段階では、自分の物忘れに気づくこともあり、それをひどく気にすることもあります。


感情障害
 感情が不安定になったり、ちょっとしたことでカッとなって興奮したかと思うと、涙を流して落ち込んだり、感情のコントロールが苦手になります。


睡眠障害
 昼と夜がわからなくなり、夜中に起きて「仕事に行く」と身支度をはじめるなどの昼夜逆転が起こります。睡眠不足で脳が疲れるため、妄想や幻覚などが起こりやすくなります。


徘徊する
 家族が目をはなしたすきに出て行ってしまい、道に迷ってしまいます。どこかに行こうとして道に迷ったり、歩いているうちに行き先を忘れてしまうことが多いようです。目的がない場合もあります。


暴力行為
 不満や不快なことを理論的な言葉で説明することができないため、そのかわり暴力や暴言で表現することもよくあります。


妄想
 だれかが財布を盗んでいったという「もの盗られ妄想」や、つれあいが浮気をしているという「嫉妬妄想」、人が自分の悪口を言っているなどの「被害妄想」はよくみられる症状です。