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アルツハイマー病とはどんな病気

 
 認知症のなかで、半分以上を占め、もっとも数が多いのがアルツハイマー病です。アルツハイマー病は65歳の人では数パーセントに過ぎませんが、高齢になるほど発症率は高くなり、85歳以上では5人に1人が発症するといわれています。このうち少なくとも3分の2はアルツハイマー病です。

 アルツハイマー病は長時間かけて、脳の変化がゆっくり進むために、いつのまにか症状があらわれ、これといったきっかけもなく、徐々に進行していきます。


 アルツハイマー病の症状の多くはもの忘れ程度から始まり、時間、場所、人がわからなくなるというように進んでいきます。

 アルツハイマー病の多くは65歳以上で発症が始まりますが、これに対して65歳未満で発症する場合を「若年性アルツハイマー病」といいます。40〜50歳代で発症した場合は本人だけでなく、家庭生活に大きな影響を与え、深刻な問題となっています。

 アルツハイマー病による物忘れは、独特のものです。私たちがものごとを記憶するときには、脳の「海馬」という部位が重要な働きをしていますが、アルツハイマー病では、海馬やその周辺に障害が起こります。

 海馬の働きが障害されると、新しく入ってくる物事を覚えることが困難になります。そのためアルツハイマー病の人は、海馬が障害される以前の昔の記憶はよく覚えているのに、たった、今したことを覚えられないということが起こります。

 アルツハイマー病の原因については、遺伝的な要素に、なんらかの環境因子が加わって発症すると考えられています。発症した脳の中では「老人斑」と「神経原線維変化」という変化にあると考えられています。

 アルツハイマー病の治療の中心は薬物療法です。しかし、残念ながら現在でもアルツハイマー病を発症前の状態に回復させる薬は今のところありません。現在あるのは脳の機能低下を抑えたり、進行をゆるめたりするための治療薬だけです。