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チックをする子にはわけがある―トゥレット症候群の正しい理解と対応のために (子育てと健康シリーズ)
チック症(トゥレット症候群)の治し方
 
 
トゥレット症候群の併発症
 
 トゥレット症候群は一人ひとりでその状態が大きく異なります。それはチック症の重症度にも関係しますが、主たる問題がチック症状だけなのか、それ以外の併発症があるかも大きく影響します。

 トゥレット症候群の人の中には、チック症状よりも併発症の方が生活の支障となっていることがしばしばあります。トゥレット症候群をよりよく理解して、適切に対応するためには併発症を知っておく必要があります。


DCD(強迫性障害)
 強迫症状は、トゥレット症候群の併発症の中でも頻度が高く、トゥレット症候群の特徴の一つと考えてもいいくらいです。強迫症状には、考えたくないのにくり返し考えずにはいられないという強迫観念と、やりたくないのに行動をくり返さずにはいられないという強迫行為とがあります。

 その不合理性に悩み、それに抵抗しようとしてもむずかしく、苦悩したり、日常生活に支障をきたしている場合です。トゥレット症候群のなかでDCDの併発をしている人は約30%と言われています。


AD/HD(注意欠陥/多動性障害)
 トゥレット症候群の併発症の中でもAD/HDはDCDと並んでその頻度が高く、50%以上におよぶという報告もあります。
 
 AD/HDは、7歳以下で発症して、不注意、多動、衝動性という3の行動症状を示す症候群です。

 不注意とは注意の持続が困難で、話しかけられても聞いてないように見えたり、支持にしたがうことができなかったりすることです。

 多動とは動きまわったり座っていてもそわそわしたりすることです。衝動性とは考えなしに行動して待つべきときに待てないことです。これらの症状が学校と家庭などの2つ以上の状況で認められ、生活に支障をきたす場合にAD/HDと診断されます。


不安、抑うつ、パニック障害
 トゥレット症候群では不安、抑うつの傾向が一般よりも高いと言われています。それはチックが激しいために悩んだり、疲労したりすることも関係あると思われます。


学業不振とLD(学習障害)
 トゥレット症候群では知能の分布は一般的な傾向と大きく異ならないのですが、知能から期待されるよりは学業が振るわないことがあります。


攻撃性や怒りのコントロールの困難
 トゥレット症候群には、衝撃性や攻撃性をともないやすく、自傷、器物破損、他害を起こしやすいと言われています。普段はとくに乱暴でもないのに、たいした理由もなく突如として「きれて」しまって止められず、沈静化してから後悔するという怒り発作があります。