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 チックをする子にはわけがある―トゥレット症候群の正しい理解と対応のために (子育てと健康シリーズ)
チック症(トゥレット症候群)の治し方
 
 
チック症のくすり
 
 チック症の改善には、ハロペリドールという薬が一般的に使われています。またそれ以外にも数種類の有効な薬があります。

 ハロペリドールは症状の強い重度のチックに使うことが多くあります。この薬は70〜80%の子どもで効果が見られます。症状が全く消えてしまうわけではないのですが、回数が減ったり、動きが小さくめだたなくなったりします。また使いはじめに効果があっても、しばらく使っていると効果がはっきりしなくなることもあります。

 副作用は子どもにはほとんどありませんが、少量で開始しても、まれに眠気を訴える子どもがいます。また、アレルギー反応を起こして発疹のでる子どももいますが、はっきりしなくても疑わしいことが起これば別の薬に変えることになります。そのほか薬を飲み始めて何かかわったことがあるようなら、とりあえずは休んでおいて、お医者さんに相談するようにしましょう。

 薬を飲みはじめてから、日常生活に差支えのない程度になったら、2〜3週間使って一度やめてみます。やめてもほとんどの場合は軽くなったままで、急に強くなることはほとんどありません。その後は経過を見て、チックが強い時だけ使うようにします。
 


チック症はどのくらいで治る
 
  チックの大部分はまばたきや頭をふるなど1つか2つのチックで、あまり種類が増えることはありません。このような場合は半年か1年以内にほとんど消えてしまいます。チックの大部分は治ると考えていいでしょう。

 子どものころの一時期にチックのある子どもは多く、10人に1〜2人くらいいるといわれています。その中で1年以上続いて、チックが全身に広がって声もでるような子どもは1万人に5人くらいです。幼稚園から小学校低学年で出てくるチックは、20人中1人以上が、何もしなくても1年以内に消えてしまいます。

 まばたきや頭をふるチックだけでなく、肩や足も動いたり、全身を突っ張るような動きがあったり、声がでたりするチックは少し長引くのですが、それでも半数の子どもは中学の終わりくらいまでに消えてしまいます。残りの半分はその後も少し残るのですが、チックの動きは年齢とともにゆっくりとめだたないようになって、まわりの人も気づかなくなってきます。

 またチックは軽くなってくると、家の中では目についても、学校や外出したときなど、本人が気がつかないうちに軽い緊張がかかるためか、抑制されてあまり目立たなくなります。
 


チックは殆ど治る
 
  多くのチック症は一過性チック障害であり、1年以内には消失します。慢性のチック症でも10歳から10代半ば過ぎぐらいまでがもっとも重症であり、それ以降は軽快の方向に向かうことが多く、完全に消失することもあります。

 トゥレット症候群でも、90%が成人期の始まりまでに軽快、消失するといわれています。しかし、少数ではありますが、成人まで重症なチック症状が続いたり、成人後に再発することがあります。そのような場合には、人生のなかでもっとも激しい症状を成人後に体験することがあります。

 どのような条件があれば一過性チック障害が慢性化するのか、慢性化した中でも成人後まで重症でありつづけるチック症となるかはよくわかっていません。