依存症の特徴と治療

依存症の特徴と治療

タバコ依存症

タバコ依存症とは
タバコ依存症はニコチン依存症とも呼ばれます。やめたくてもやめられない喫煙習慣のことをいい、WHOでも認められている「薬物依存症」の一つです。喫煙すると頭がすっきりしたり、気分が落ち着いたり、リラックスしたりできるのですが、喫煙しないと、ニコチン切れに伴うイライラ、喫煙欲求、落ち着かない、集中力低下、食欲増加、抑うつなどの、さまざまな症状(離脱症状)が現れるようになります。
 
 以下はニコチン依存症のチェックテストです。国際疾病分類やアメリカ精神医学階の分類を元に作られたニコチン依存症、タバコ依存症の診断基準です。下記のうち5つ以上に当てはまった人はニコチン依存症である確率が非常に高いので要注意です。

吸うつもりより、ずっと多くのタバコを吸ってしまうことがある。
禁煙や減煙を試みて失敗した経験がある。
禁煙や減煙をしたときに、喫煙したくてたまらなくなったことがある。
禁煙や減煙の際、次の何れかの症状が出た・・・イライラ、神経質、集中しにくい、落ち着かない、頭痛、憂鬱、眠気、胃がむかつく、脈が遅い、手が震える、体重増加
禁断症状を消すためにまた喫煙したことがある。
 重い病気にかかって喫煙の概は分かっているのに吸うことがある。 喫煙による健康問題が起きていると分かっていても吸うことがある。
 喫煙による精神問題が起きていると分かっていても吸うことがある。
 タバコ依存だと感じることがある。
 喫煙できない仕事や付き合いその他を避けたことがある。



タバコ依存症の禁断症状
止めてから最初の20分
血圧が正常になる。脈拍が減る。血流が回復し、手足の温度が上昇し始める。約半数の人に、うつ、集中力の低下、約4分の1の人にニコチン離脱症状が表れる。
止めてから最初の8時間
酸素濃度が上昇して呼吸が楽になる。心臓発作の確率は低下する。
止めてから最初の24時間
血液中の一酸化炭素濃度が正常になり、肺は不純物を除き始める。ニコチンの離脱症状はここからの48時間がもっともつらい。
止めてから最初の48時間
味覚や嗅覚が回復する。体内のニコチンは完全に消失。
止めてから最初の72時間
喫煙刺激による気管の狭窄がとれ、呼吸量がふえて息をするのが楽になる。肺気腫の病的な進行が止まる。
止めてから2週間から3ヶ月後には
血液の循環が良くなり、歩行が楽になる。ほとんどのニコチン離脱症状は消失。ストレスレベルも低下する
止めてから3ヶ月後から9ヶ月後には
咳の回数が減り、鼻づまりがおきにくくなる。疲れにくくなり、息切れも軽減する。気道の掃除機能であるせん毛が再生してくるので、気道内はクリーンに保たれるようになり、呼吸器の感染症にかかりにくくなる。肺気腫も5〜10%改善すると言われている。 


禁煙は最初の7日間が勝負
 禁煙の成否を左右するのは最初の7日間です。禁煙を始めると、最初の7日間が最も苦しく感じられるはずです。身体的、精神的なニコチン依存のためにイライラ、吸いたい、怒りっぽくなる、眠い、だるい、集中力が出ない、などの離脱症状が最も強くなるのがこの時期だからです。今は多くの禁煙グッズなども市販されていますので、比較的手軽にニコチン代謝療法が使え、離脱症状を和らげることができます。
 最初の7日間のうち、ニコチンが体からどんどん出て行く2〜3日目は、特に離脱症状が強く表れます。それでも、ほとんどの離脱症状は、1週間から2〜3週間で消えていきます。また、それまで吸っていたタバコと決別して間もないわけですから、精神的にも少し不安定で、ストレスを感じやすい時期でもあります。無意識にタバコに手がのびるなど、吸いたくなることはわかっています。しかし、あわてることはありません。その場合はできる限り気をそらすようにします。
 対処法は、水やお茶を飲む、深呼吸をする、野菜スティックなどをたべる、昆布をしゃぶる、場所を変える、散歩や軽い体操をする、など何でもかないません、とにかく「吸いたい、吸いたい」という気持ちから気をそらすことが一番です。同時に、特にこの時期は、誘惑の多い場所や状況を避けるようにします。例えば、禁煙者のそばには近づかない、禁煙の施設を利用する、飲み会にはいかない、などです。禁煙開始1週間は、ただでさえ喫煙の要求が強くあり、ストレスのかかる時期ですので、それを助長させるような状況に自分をおかないことです。



タバコ依存からの脱出法
人間は誰でも、これからあらわれる不快なできごとに対する情報を事前に知っておくことにより、本番のときにはうまく対処できる能力を持っています。そこで、禁煙できっと起きるという自分にとってマイナス情報を手に入れておくと、禁煙開始後のストレスを減らすことができます。
禁煙すると、離脱症状(禁断症状)が表れます。タバコという依存性薬物を常用してきたわけですから、医学的にも当然のことです。この不快な症状は2〜3日を頂点に5日〜7日ほどで収まっていきます。その見通しを知っておくことが大切なのです。
 離脱症状には対処法があります。依存が強くて、これまでの禁煙で離脱症状が強く出た人は、一時的なニコチン薬剤の併用という方法もあります。また、ニコチンガムやニコチンパックを適時取り入れるなど、工夫をするのがよいでしょう。

 禁煙を成功させるために何より大切なことは、「やめたい気持ち」を育てることです。仕事から恋人まで、すべてを含めて、自分の生き方を考えてみましょう。タバコにしばられた生活の今後の展望も想像してみましょう。どのような将来が見えてくるのか、なりたい自分を想像してみます。禁煙を乗り越えた自分のすばらしさや、禁煙後の達成感を想像してみます。
 床についたら「気づかないうちに、タバコとライターを探している」とか、キーボード操作を始めると「口元に手をやったり」とか、いつもはこの場面で吸っているなあと懐かしく思い出したり・・・。まるで今も喫煙をつづけているかのように、タバコ探し行動を次々に起こしてしまいます。それに対処するには、タバコを吸うきっかけをはっきりさせることが大切です。あたなは、どんなときにタバコを吸いたくなりますか?まずそこからチェックしてみましょう。そして、きっかけがはっきりしたら、それを防ぐ方法を考えましょう。