依存症の特徴と治療

依存症の特徴と治療

ギャンブル依存症

ギャンブル依存症とは
ギャンブル依存症とは精神疾患のひとつで、ギャンブルをしたいという衝動をおさえることができないという症状をもつ人です。最初は趣味で始まり、小遣いの範囲でやっていたものが、しだいにエスカレートしていき、欲求から逃げられなくなり、その結果、多額の借金を負って首が回らなくなる、家族の金に手をつけるようになり、最後には犯罪行為をしたり、自殺する人もいます。
 ギャンブル依存症の人は、ギャンブルが自分にとってマイナスだということは十分分かっています。ギャンブルで財布を空にしては、落ち込み、後悔し、自分の忍耐のなさを責めます。しかし大当たりしたときの快感が忘れられず、また、落ち込んだ自分の気持ちを引き上げてくれるのはギャンブルしかないとの思いから、またギャンブルをくり返します。

 ギャンブル依存症の治療は、心理療法が行われますが、長い時間を要することになります、治すためにはギャンブルを完全に絶つ必要がありますが。長期間ギャンブルを絶つことに成功した後でも再びギャンブルに手を出すとたちまち症状が再発するという特徴もあり、「ギャンブル依存症は治らない」といわれることもあります。ギャンブル依存症は依存者だけでなく家族や周囲にいる人達への影響も大きく、周囲の人間が傷つく度合いにおいて、ギャンブル依存症を超える病気はないともいわれます。

ギャンブル依存症かどうかの診断
【精神障害の診断と統計の手引き】
アメリカ精神医学会が定めたもので、世界保健機関による疾病及び関連保健問題の国際統計分類とともに、世界各国で用いられている。10項目中5項目以上に該当するとギャンブル依存症の可能性が極めて高いと判断されます。

ギャンブルのことを考えて仕事が手につかなくなることがある。
自由なお金があると、まず第一にギャンブルのことが頭に浮かぶ。ギャンブルに行けないことでイライラしたり、怒りっぽくなることがある。
一文無しになるまでギャンブルをし続けることがある。
ギャンブルを減らそう、やめようと努力してみたが、結局ダメだった。
家族に嘘を言って、ギャンブルをやることがしばしばある。
ギャンブル場に、知り合いや友人はいない方がいい。
20万円以上の借金を5回以上したことがある、あるいは総額50万円以上の借金をしたことがあるのにギャンブルを続けている。
支払予定の金を流用したり、財産を勝手に換金してギャンブルに当て込んだことがある。
家族に泣かれたり、固く約束させられたりしたことが2度以上ある。

ギャンブル依存症の治療
 ギャンブル依存症の治療は、本人にギャンブル依存症であるということを自覚させることから始まります。身体は何も悪くなくても、ギャンブルに依存しているというその事実が病気だということをまず理解させます。
 ギャンブル依存症には長期間ギャンブルを絶った後でもギャンブルをするとたちまち症状が再発するという特徴があります。そのため、ギャンブル依存症の治療の目標は、ギャンブル依存者がギャンブルを完全に絶ち、そうして人生を再構築して充実した生活を送ることにあります。ギャンブル依存症の治療には数年かかるのが一般的です。
 ギャンブル依存症は薬物を用いて治療する方法はありません。最も有効な治療は心理療法です。そして心理療法を行う場合にも1対1のカウンセリングはあまり効果がなく、集団精神療法を行うことが望ましいとされています。ギャンブル依存症を治療するには集団精神療法を週に1、2回、少なくとも2年間継続する必要があります。
 集団精神療法は病院やギャンブル依存者の自助グループ、回復施設で行われています。診察については心療内科もしくは精神科にいきますが、ギャンブル依存症の治療に取り組んでいる医師は決して多くないため、予めギャンブル依存症を扱っているかどうか問い合わせる必要があります。
 自助グループと回復施設はともにギャンブル依存者の治療を行う場ですが、回復施設では専門知識を有する指導員の指導の下、通所だけでなく宿泊機能のついた施設に入所して治療を行うことが可能なのに対して、自助グループには専門の指導員がおらず、ギャンブル依存者の自由意思に基づいた通所による治療のみが行われます。そのため、集団精神療法を行う際にはまず回復施設で治療プログラムの基礎を身につけ、その後自助グループに通うことが望ましいとされます。
 ギャンブル依存症の自助グループとしてはギャンブラーズ・アノニマス(GA)が国内最大規模です。匿名で参加できて、自分の思っていること感じたことを素直に話し、同じ状況にある仲間の話を聞いていく中で回復をはかるという団体です。
 ギャンブル依存症には、長期間ギャンブルを絶った後でも一度ギャンブルに手を出すと再び依存症になるという特徴があります。したがって治療においては二度とギャンブルに手を出さない意思を継続させることが重要となりますが、そのためには集団精神療法への定期的な参加を日常生活の中に組み込み、他のギャンブル依存者と連帯感をもつことが有効であるとされています。