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拒食症・過食症(摂食障害)とは

 摂食障害の問題行動

 
退行  不登校  昼と夜が逆転 
万引き  家庭内暴力  アルコール依存 
性的逸脱行為  自殺企図  衝動的な買い物 
 
 退行
いわゆる「幼児がえり」です。話し方や洋服などの趣味が幼くなったりします。また母親にべったり甘えてしまったり、まるで幼児のようにだだをこねたりします。退行とは、幼児に戻ることによって、両親やまわりの人たちの愛を得ようとする反応であり、ストレスが大きくなり、がまんできなくなったので保護してほしいという気持ちの現れです。まわりの人は、まず驚いて心配しますが、しばらくするとじれったくなって頭ごなしに怒ってしまいます。すると患者さんはさらに退行してもっと注目を得ようとするようになり悪循環におちいります。退行が見られたときは、なるべく受容的に接し、患者さんを安心させるようにします。



 万引き
摂食障害の患者さんに最も多くみられる問題行動は万引きです。4人に3人くらいの患者さんに万引きがみられるといいます。多くは万引きをして捕まり、親が右往左往するのを見ることが快感だと感じています。これは摂食障害が親に対する反逆の表れと考えれば容易に納得できます。
 万引きをする品物は拒食症と過食症では異なります。拒食症の場合は、洋服、バッグ、アクセサリーなど、値段のはる服飾品を盗むことが多く、過食症では食べ物を盗みます。万引きは食べたい欲求を抑えている代わりに行う代償行為の一つであると考えられます。かならずしも欲しい品物があって、それを万引きするのではなく、衝動的に万引きしてしまうのがほとんどです、本人には悪いことをしているという意職はなく、捕まらないようにしようとする気持ちもないので、警備のプロがみるとすぐわかるそうです。



 性的逸脱行為
摂食障害の女性には、からだの肉をそぎ落として女性であることを拒否するという傾向があることもありますが、しかし過食症の患者さんの中には、それとは逆に、男性との乱れた関係、例えば、同時に複数の男性と肉体関係をもったり、援助交際に走ったりすることがあります。相手の多くは、病院で知り合った男性です。患者さんは相手の男性について「自分のわがままを聞いてくれた」などといって、これは自分のからだを代償にして、男性の注目を得ようとする気持ちの現れです。



 不登校
不登校の心理的な原因は「いい子」でいることに疲れたということです。まわりの期待を一身に背負って学校に行くことに耐えられなくなった、という気持ちが行動になって現れます。「いい子」でいるということに疲れ、自分が何をしているのか分からなくなったとき、学校での人間関係などが重荷になってしまうのです。社会人の出社拒否も不登校と同様です。
 過食症の人が不登校になる場合は、ずるずると学校へ行かなくなるのではなく、多くの人は「学校へ行かない」と宣言してから学校へ行かなくなります。摂食障害の人は頑張りやの人が多いのですが、プライドが高く、同姓に対するライバル意識も強い傾向があります。やせているときは周囲の人からうらやましがられ賞賛を浴びていたので、太った醜いからだを人前にさらす屈辱にはたえられないと、学校へ行けなくなってしまうことが多いようです。やせていたときの自分を知らない人の前なら出られるので、転校すれば学校へ行けるようになることもあります。



 家庭内暴力
ストレスの衝動が自分に向かわず、家族に発散されるのが家庭内暴力です。ストレスに対する処理を男性は家庭内暴力で、女性は摂食障害で行うことが言われてきましたが、女性でも摂食障害とともに家庭内暴力が現れるという例は多く見られます。過食が認められないことから自暴自棄になったり、言葉にできない気持ちを暴力という形で家族にぶつけているのですが、理由も無く暴力をふるうのではなく、ほとんどの場合、きっかけになる出来事があります。暴力をふるうときは何か「むかつくこと」があったときです。



 自殺企図
病気によって抑うつ状態が続くと、自殺を図ったり、自らを傷つけたりします。抑うつ状態の人には、つい最近悩みはじめた事柄について、自分がずっと以前から悩み続けており、その悩みは生涯続くと錯覚するという特徴があり、絶望的な気分になります。一般に悩みは病気が軽くなればなくなってしまうのですが、患者は迷路から抜け出せなくなっています。うつ状態はことに過食と密接にかかわっているので、抑うつ状態になっている患者さんにはなるべく快適に過ごせるように配慮してあげるようにします。



 昼と夜が逆転
摂食障害の患者さんは、睡眠不足の傾向があります。拒食症の人は、食べ物に対するこだわりが強く、ひとつひとつの食べ物の分量を量ったり、カロリー計算をしたり、自分で作ったりします。また、ちょっとづつ食べるので、食事時間が長くなります。そのため食べることに多くの時間がついやされ、睡眠時間が少なくなってしまうのです。

過食症の人は、夜中に過食をすることが多いのですが、深夜までだらだら食べ続け、過食と嘔吐を繰り返すため睡眠不足になります。夜中にコンビニに買い出しに行き過食をする、全部食べてしまってまた買い出しに行くということを繰り返して、明け方になってぐったりして眠り、昼夜が逆転した生活を送ることもよくあります。学校や職場にいっている人も、ほとんどは慢性的な睡眠不足で、なんとかがんばっているという状態です。



 アルコール依存
飲酒ができる年齢になると、アルコールに依存する人もいます。患者さんは「酒を飲んでいると過食をしないですむ」といいます。過食の変わりに飲酒をしますから、毎晩かなりの量を飲むようになります。酒を飲まずにいられないというのではなく、酒がない場合は過食をすればすみます。患者さんは過食をして吐くという行為を惨めでイヤだと思っていますので、その代わりにアルコールを使っているのです。多くの患者さんは、酒の飲みすぎで朝起きられないなど生活が不規則になり、仕事にも支障がでるようになります。アルコールに依存する生活が続くと、アルコール依存症になってしまいます。摂食障害の患者さんがアルコール依存症になると治療は大変難しくなります。



 衝動的な買い物
親のお金を盗んだり、クレジットカードで勝手に買い物をしたりすることもしばしばあります。買い物依存症の人の中にも摂食障害の人がたくさんいます。洋服やバッグなどをつぎつぎに買い込んでしまいますが、買い物が目的ですから、買ったものをそのまま押入れにしまうなど、買ったものには興味がないのが特徴です。万引き、盗みなどは、親には大変ショックなできごとで、将来が心配になりますが、病気が治るとピタッとしなくなります。