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拒食症・過食症(摂食障害)とは

 摂食障害の原因のいろいろ

 ダイエットが引きがねに
摂食障害の多くは、ダイエットをきっかけに拒食症になることからはじまります。ダイエットがエスカレートし、いつの間にか摂食障害になっているというものです。若い女性がやせてきれいになりたいというのは自然なことですが、その程度を超えて、太っていない人までダイエットに励んでいます。それがきっかけで摂食障害になる女性を増やしているのです。しかし、ダイエットは原因の1つですが、引き金であって、決してダイエットだけが原因ではありません。なぜならダイエットをしても摂食障害にならない人もたくさんいます。



 摂食障害の家族の特徴
一般的に中流以上、高学歴で社会的地位のある家庭に多いという傾向にあるといわれています。それは、社会的に成功している親は、子どもにも同じような道を歩ませたいと考えることが多く、そのため知らず知らずのうちに子どもに対して親の考えをおしつけることが多くなっていきます。そして子どもも一生懸命努力して親の愛情を得ようとします。その結果、親の言うとおりにしている「いい子」に育つようになります。しかし、それは親に愛されなくなることを恐れて従順にしているだけで、自分というものがありません。こうした親子関係が思春期になって子どもが自分の将来を考えるようになると、なにかのきっかけで、不安が爆発し、摂食障害や家庭内暴力などの問題行動となって現れます。自分は自分のことが決められない人間であるということがわかったとき、その怒りは「自分をそのように育てた人間」に向かいます。それが、自己否定となり、自分の肉体をそぎ落とそうとする行動へとかりたてます。それが摂食障害になります。



 母親との信頼関係の欠如
摂食障害の人は、まじめで几帳面、負けず嫌いなど、性格的な共通点がいくつかみられますが、幼稚園でも小学校でも優等生で、母親のいうことをよく聞くよい子だったということも共通しています。
 乳幼児期に母性が欠如すると、母子間の基本的な信頼関係の確立が不十分になり、子ども本来の甘えが満たされないまま早期に自律をせざるをえなくなります。その結果、手をかける必要のない子ども、手をかけなくてもいい子どもになりますので、親の側からみれば、「いつも一人でおとなしく遊んでいる」、「手のかからない子ども」、いわゆる「よい子」に育ちます。
 しかし早期に自律を促されるといことは、子どもの側にしてみれば、甘えることをがまんして、大人の目からみた優等生を演じることを意味しています。よい子に育つのは、よい子でいれば母親が自分のほうを向いてくれる、よい子でいないと母親から見捨てられてしまうという心理が働いているためだと考えられます。



 女性性の拒否
女の子は、母親に自分と同じ性をみて、生き方のモデルにしています。しかし、母親と信頼関係がないままに育つと、母親をモデルにできなくて、同じ性を受け入れることを拒否するようになります。

思春期になって初潮が起こるとふっくらとしたからだつきになって、体重が同じでも太った感じになります。成熟すると、母親と同じような女性になることを拒否するためにダイエットをはじめることがあり、これが拒食症につながることもあります。この場合は、心の奥底に母親の愛情に対する飢餓感があり、やせて小さくなることによって、無意識のうちに母親の愛情を得たいと願っていると考えられます。



 子宮回帰願望
摂食障害のほとんどの人が小さな子どもに帰りたいという願望を持っていると思われます。その思いは表現の違いはありますが「もっと小さくなりたい」、「時計を戻したい」、「人生をやり直したい」などという「子宮回帰願望」というものです。
 なぜ、小さな子どもにもどりたいと考えるのか、摂食障害の人はほとんどが退行、いわゆる「幼児がえり」をします。これは幼児に戻ることによって、両親やまわりの人たちの愛を得ようとする反応であり、ストレスが大きくなり、がまんできなくなったので保護してほしいという気持ちの現れです。摂食障害の人は治療において、母親の愛情が満たされると治っていくということが多くあります。