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拒食症・過食症(摂食障害)とは

 摂食障害とはどんな病気

 摂食障害は、以前は中高生の女の子が食事を食べずに、痩せてくる病気として「思春期やせ症」という言葉で呼ばれていたこともあります。最近では、「拒食症」、「過食症」という病名でよく知られるようになり、この病気についての理解も深まってきましたが、いまだに無理なダイエットが原因で拒食症になったなどと、誤解されている面があります。

 また、拒食症、過食症という言葉のイメージから、2つは異なる病気のように思われていますが、見た目の症状は反対でも、同じ原因で起こる病気です。おもに食行動に異常がみられることから、拒食症と過食症をまとめて摂食障害と呼んでいます。


 摂食障害はアメリカでは女子大生の100人のうちに4人以上が過食の経験をもつと言われていますが、日本でもそれに近いくらいの患者がいると言われています。このように、摂食障害は特別な病気ではなく、だれもがかかる可能性のあるポピュラーな現代病の一つになっています。

 摂食障害の患者のほとんどは退行(乳幼児のような行動をとること)、いわゆる赤ちゃん返りをし、異常なまでに母親の愛情を求めることが認められます。こうしたことから、摂食障害の原因については、幼児期の母性の欠如があると考えられています。

 摂食障害は拒食症の段階で治療をはじめると比較的短期間で治るのですが、過食症になると治療が難しくなり、治るまでに何年もかかることもあります。また著しいやせ、身体的合併症で生命の危機を招いたり、抑うつ状態になり自殺を図ることもまれではありません。その意味では怖い病気です。




 思春期の女性がほとんど
 国際的によく使われる拒食症の診断基準は「体重が標準体重の85%以下になっていること」と決められています。以前は80%以下でしたが、80%になるまで診断ができないと対応が遅れてしまうことがあるので、近年では「85%以下」に改められました。

 摂食障害は若い女性に圧倒的に多くみられます。発症の平均年齢は18才前後です。しかし摂食障害は、治療を受けていない人が多いために、統計に現れるより多くの患者さんがいるものと推測されます。

 実際、女子高などでは同じ学年に何人も摂食障害の人がいることも少なくありません。摂食障害は社会的、文化的背景と密接に結びついた病気です。このことは欧米や日本で増加している反面、発展途上国や食料難といわれる地域ではほとんどみられないことからもわかります。

 異常にやせている若い女性は、拒食症の可能性があります。やせているだけでなく、いくつかの特徴的な症状や行動パターンが見られるので、専門医なら診断は比較的容易です。