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拒食症・過食症(摂食障害)とは

 過食症とは

 過食症は、拒食症と正反対に見えますが、その根底に潜む心理は拒食症と共通しています。過食症の場合もダイエットがきっかけで、例えば1年以上食べずにいた甘いものをひと口食べたとたん、過食が始まったりするケースが多いようです。そして過食症の場合は痩せる一途をたどる拒食症と違い、やせては太るというリバウンドを繰り返します。

 治療をしていない拒食症のほとんどは過食症に転じますが、過食に転じたとき、ほとんどの人はまだ強いやせ願望がありますから、むちゃ食いをしたあとはびっくりして、非常に混乱した状態におちいります。そしてなんとか体重を減らそうとして、指をのどにつっこんで吐こうとしたり、あるいは大量の下剤を飲んで無理やり下痢を起こしたりします。むちゃ食いを繰り返し、食べたものを吐き出すなどの食行動の異常がみられるようになれば過食症と診断されます。

 過食をして吐いたり下剤を使ったりしない場合は肥満になります。やせ願望を口に出していわないことも多いので、やせ願望がある場合には過食症と考えられます。

 過食症では、食べ方にいろいろなパターンがあります。3〜4日拒食の状態が続き、その後は一週間過食をする、朝食、昼食は食べないで、夕食から深夜にかけて過食をするなどがよく見られルパターンです。過食を繰り返すようになると、夕方から夜にかけて過食をするようになる人が多いようです。昼間過食をしていると、学校や職場にいけないので、社会生活に適応するために自然にこのような過食の形になるのでしょう。過食のために学校や職場にいけなくなることもたくさんあります。身体的な問題もさることながら、過食症では社会生活が営めなくなるケースがあることが問題です。



 食べ物のことしか考えられない
 拒食症から過食症に転じたとき、頭の中は食べ物のことでいっぱいになります。摂食障害になる人は成績優秀な努力家の人が多いのですが、食べ物のことしか考えられなくなり、試験で0点をとったりします。食事をしていても満腹感が得られないので、食べ始めると信じられないほどたくさんの量を食べます。まさに食べつくすというような状況で、家計を脅かすような過食も珍しくありません。

 自分の部屋で過食をしたり、家族が寝静まった深夜に過食を行うのがほとんどで、最初は家族もなかなか気づかないようです。食べたものを吐く場所はトイレが多いのですが、ふろ場、洗面所などで吐くこともあります。摂食障害の人は、他人と一緒に食事をすることをイヤがり、一人で食べるようになります。ほとんどの場合、友人などの他人がいる前では食べ物を口にしません。

 過食症になった人の心の中は、「やせたい願望に反して食べてしまったことへの自己嫌悪」、「体重増加に対する恐怖感」でいっぱいになります。一度過食を経験すると、ほとんどの人はいままでの拒食の反動で、自分では食べるのをやめることができなくなります。食べれば当然体重がふえますから、ますます自己嫌悪が強くなります。吐いたり、下剤を使うのは「やせたい」、「食べたい」という相反する願望をかなえる窮余の選択なのです。しかし吐いた後はとても惨めな気分になります。「意思に反してまた食べてしまった」という罪悪感、「私はダメな人間だ」という自己嫌悪・・・この繰り返しの中で。精神的にはうつ状態、つまり落ちこんだ状態になります。



 過食症は発見しにくい
 過食症は外見からはふつう専門医でもわかりません。過食症のことは「秘密の症候群」と呼ぶ人もいるくらいで、本人は非常に恥ずかしいことと思っていますので、隠している人が多く、本人が訴えない限りわかりにくいものです。なかには「過食しているのをみられるのは自分の裸を見られるよりもイヤ」というような人もいます。

 過食症は食べる量も、単なる食べすぎなどという半端なものでなく、苦しくなって胃が受け付けなくなるまで食べ続けます。例えば、夕食に引き続いて、あるいは深夜におよび、ひどいときには朝起きるとすぐに、といったように一定の状況や時間になると生理的に過食衝動が起きて、過食が習慣化します。食べてしまった後は、太るのが怖いので自分で吐いてしまったり、さらに下剤を使って徹底的に食べたものを出す努力をします。吐くことは最初は苦しいのですが、習慣化すると容易に吐けるようになります。しかし、食べた後は、自己嫌悪や抑うつ気分、イライラを伴います。