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坐骨神経痛の治療

 
 
  坐骨神経痛の治療
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 坐骨神経痛の治療は「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。保存療法には「装具療法」「物理療法」「運動療法」「薬物療法」「ブロック療法」などがあります。

 手術療法は、歩行や排泄などに支障があり、日常生活に大きく支障をきたす場合は、手術が必要になることがありますが、いきなり手術をすることはありません。

 坐骨神経痛の治療の目的は、痛みやしびれなどの症状を軽くして、日常生活の不自由を軽くすることにあります。多くの坐骨神経痛は保存療法で症状が改善されます。

 保存療法はその人の症状にあわせた方法で行われますが、3ヶ月ほど続けても症状が改善されない場合は手術も検討されます。




 コルセットと呼ばれる装具を用いて治療するのが装具療法です。コルセットは硬さによって2種類のものがあります。

 一つはメッシュなどの弾力性のある素材で作られた軟性コルセット、もう一つはプラスティックや金属などで作られた硬性コルセットです。

 坐骨神経痛では通常は軟性コルセットを用います。コルセットは急性期の痛みが強い時期に使用されます。コルセットで腰部を固定することで、腰周りの筋肉をサポートして腰の痛みをやわらげます。

 硬性コルセットは圧迫骨折や手術のあとの腰椎を固定するために用いられます。ただし、コルセットに長期間頼りすぎると、自分自身の筋力がますます低下してしまいますので、コルセットの使用は医師の指導のもとで行うようにします。コルセットは薬局や薬店でも購入できます。




 坐骨神経痛の物理療法とは、温熱や牽引、マッサージなどで患部に刺激をあたえて血行を改善し、神経や筋肉の緊張をほぐすのが物理療法です。

 温熱療法は、患部を温めることによって血行を促進し、痛みをやわらげます。医療機関でよく使用されるものとしては、ホットパック(温湿布)、赤外線、超短波、マイクルウェーブなどがあります。

 牽引療法は、骨盤の位置にベルトをかけて、足の方向に引っ張ることで腰椎の緊張をやわらげます。また「低周波電気刺激法」では、ごく弱い電流を流すことで痛みのもとになっている神経を刺激して痛みをやわらげます。

 マッサージ療法では、こわばった筋肉をもみほぐすことで血行を促進して痛みやしびれを楽にします。

 ただし、これらの物理療法の効果には個人差がありますので、あまり効果がないときには、無理に行うことはありません。



 
 ストレッチングや軽い体操を行うことで筋肉や靭帯の緊張をほぐし、症状をやわらげるのが運動療法です。

 坐骨神経痛の運動療法では、腰に負担をかけるような腹筋トレーニングや激しい運動はさけて、ストレッチングや体操、ウォーキングなどを少しずつ行います。


 運動療法はすぐに効果が出るものではありませんが、症状の悪化や再発を防ぐためにも自分にあった運動を気長に行うことが大切です。

 ただし、急性期など痛みの強い時期は、運動療法は行ってはいけません。ある程度痛みが落ち着いてから、軽いストレッチングや腰痛体操から始めます。また、痛みが強くなるようなら動きや運動は避けるようにします。

 運動療法は痛みをがまんして行うものではなく、気持ちよいと思える範囲で行うことが大切です。もし間違った方法で行うと、かえって坐骨神経痛を悪化させることがあるので注意が必要です。




 薬物療法は、薬を用いて坐骨神経痛の痛みをやわらげる療法です。坐骨神経痛は薬で完治させることはできません。あくまでも対症療法ですが、それでも薬で痛みがある程度やわらぎ、日常生活の動作が楽になります。

 坐骨神経痛の薬物療法でよく用いられるのは、

・痛みや炎症を抑える・・・消炎鎮痛薬

・筋肉の緊張をやわらげる・・・筋弛緩薬

・抹消の血流をよくする・・・末梢循環改善薬、末梢血管拡張薬

・神経を補修する・・・ビタミンB12せい剤

などです。

 中でも、痛み止めとして広く用いられているのが消炎鎮痛薬です。種類がたくさんありますので、効果がみられないときには医師と相談しながら、自分にあったものを選んでもらうようにします。




 ブロック療法とは、痛みを出している神経そのものや、神経の周囲に局所麻酔をして、痛みを取り除く療法です。

 ブロック療法は外来で行うことができます。即効性があるので、痛みが強いときや、痛みが続くときに有効です。ただし、ブロック療法で痛みの原因が治るものではなく、あくまでも対症療法の一つです。




 坐骨神経痛の治療は、3ヶ月程度の保存療法で多くの人が改善します。しかし、症状が重い場合や次のような場合には手術が検討されます。

強い麻痺があるとき

・排尿障害や排便障害があるとき

・歩行障害があって、日常生活が送れなくなったとき

・保存療法で改善されない下肢痛が3ヶ月以上続くとき


 実際に手術するかどうかは、本人の希望や自覚症状、ライフスタイルなどから総合的に判断されます。