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うつ病はいつから始まったと具体的に発症したときを特定することは比較的少なく、ある日、そういえば以前と違う状態になっている、ことに気づくことが多いようです。 症状は初期には「眠れない、食欲がない、体調が悪い」などの症状が起こることが多いのですが、どの症状から始まるということはなく、いくつかが重複して起こります。 その後、次第に「考えがまとまらない、自分はダメな人間だと感じる」などの「抑うつ症状」が現われ、それが日を追ってどんどん悪化します。 うつ病は、特に治療をしなくても3ヶ月〜1年ほどで自然に治ることもあります。しかし、回復のペースは非常にゆっくりで、うつ病の程度、その人の置かれている立場などによっても変わります。回復を待つ間の本人の苦悩は非常に強いものですし、また、自殺の危険性も無視できません。 |
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うつ病はその名のとおり「強い憂うつ」が第一の症状です。憂うつ感は日頃誰でもが感じるものなのですが、うつ病の憂うつ感は、それとは比べ物にならないくらい強く、しかも消えることなく長く続き、したがって本人は非常に苦しく感じます。そのため仕事や家事、学業はもちろん日常生活にも支障をきたす状態となります。 日常生活の中で、憂うつにさせられる出来事はたくさんあります。しかし、ほとんどの場合は、憂うつをもたらした原因が解消されたり、または原因はそのままでも、憂うつを吹き飛ばすようなうれしい出来事が起きれば、憂うつ感はいつのまにか消えてなくなります。これが健康な心がもつ復元力です。 ところが、うつ病の人では、憂うつ感が心から消えることはありません。外で起こることに関係なく、いつでも強い憂うつ感を持ち続けています。 つらく悲しい出来事に遭遇して落ち込んでいる人を励ますとき、通常はその人の話を聞けば、その人の状況や気持ちを理解することができるものです。 ところが、うつ病では、時に落ち込んでいる理由や、その気持ちが周囲の人にはわかりにくいときがあります。本人があまりにも悲観的に物事を受けとめているために、周囲の人が受け止めている現実と、本人の気持ちが合いません。現実の受け止め方が偏るのもうつ病の症状の一つなのですが、こうした偏りのために、苦しみがさらに深くなるという悪循環に陥ることもしばしばあります。 |
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むなしさが長く続く うつ病の特徴的な症状は「何をしても楽しくない」、「何も興味がわかない」などという強い抑うつ感です。うつ病では、涙をながすような悲しさはあまりありません。むしろ「悲しさ」、「怒り」などの感情の動きが停止してむなしさに閉じ込められたような状態だといえます。 何かをしようとする意欲がなくなる 積極性がゼロになり、何かをしよう、したいということがなくなります。仕事や家事、趣味やレジャーなどはもちろん、身だしなみもおろそかになってきます。しかし「やらなくては」という義務感はあるため、焦りを感じたり、できないことに対する罪悪感になやまされる。 悲観的な考えばかりが浮かぶ 悲観的な考えばかりが浮かぶようになり、悪いほうへ、悪いほうへと考えが及んでしまいます。事態を打破する前向きな考えは浮かばず、悪循環にはまり込んでしまいます。また、こうした考え方が高じて、事実とは異なる、妄想ともいえるような極端な思い込みをもつこともあります。周囲が「そんなことはまったくない」と説得しても、なかなか受け入れないという特徴もあります。 自殺を考える 自殺とうつ病は非常に関係が深く、「死にたい」、「自殺してしまいたい」と自殺を口にしたり、また自殺を試みて、周囲がうつ病に気づくケースもまれではありません。 つらさをかくす うつ病の初期には、本人がつらさを隠して元気にふるまうことがよくあります。すると、本人がとてもつらく感じても、周囲にはそう見えないため、うつ病に気づくのが遅れることもしばしばです。 眠れない、すぐ目がさめる うつ病では、「よく眠れない」、「すぐに目がさめてしまう」などの睡眠障害がよく起こります。眠れないことでひどくつらい思いをするうえに、睡眠不足で昼間もスッキリしません。食べたいという気持ちがなくなって、食べる量もすくなくなります。そのためやせてきます。疲れやすくなり、倦怠感も強くなります。 体調がすぐれない 体のしびれや痛み、頭痛、口やのどの渇きなど、さまざまな症状が現われる人もいます。体調がすぐれず、内科を受診したものの特に異常が見つからないことから、精神科を紹介され、うつ病と診断されることも多くあります。 感情がわかない 楽しさ、うれしさなどのプラスの感情はもちろん、悲しみや怒りなども感じなくなり、むなしさ、空虚感に支配されるようになります。 もどかしさや焦りが強くなる もどかしさや焦りが強くなり、時にイライラ感としてあらわれることがあります。 自己否定の考え方から抜け出せない 悲観的な方向ばかり考えてしまう。現実は決してそんなことはないのに、破産してしまうと思い込む「貧困妄想」、世間に顔向けができないと考える「罪業妄想」などが現われることもあります。 反応が鈍くなり、引きこもりがちになる。 感情の動きがなくなり、物事に対する反応が鈍く薄くなる。人と会うのも苦痛になり、他人との接触を避けて引きこもりがちになります。 日常のことをしなくなる 憂うつな気分や身体症状のために、きびきびとした動作ができなくなる。家事がおろそかになったり、身だしなみがだらしなくなるなどの行動が見られることも多くなります。 ひたすら自分を責める まったく自分に関係ない事柄でも「自分が悪い」、「迷惑ばかりかけてすまない」などと言って、ひたすら自分を責める言動がでてくる。 |
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働き盛りの世代のうつ病は、職場と家庭では異なる形で現われることがあります。職場では、業務上で「以前と違う」と指摘されることが多くなります。「仕事のミスが増える」、「集中できず、能率が下がる」、「以前よりイライラしたり、怒りっぽくなる」こともあります。このような症状があっても、最初のうちは本人が隠したり、いつも以上に頑張ってカバーしたりするため、周囲の人が気づかないこともあります。 また家では「ぼんやりしている」、「不眠を訴える」、「食事をとらなくなる」などのサインのに注意が必要です。また「だるくて調子が悪い」、「すっきりしない」などの身体症状もよく見られます。 このような身体症状を紛らわすために飲酒量が増えたり、寝つきが悪いからと寝酒を飲むようになるなど、飲酒行動に変化が見られる場合もあります。抑うつ症状より先に身体症状が現われることも多く「疲れからくる不調だろう」と思い込んでしまったり、うつ病を自覚していない人もかなり多いと考えられます。 そして、働き盛りの世代では、自分の苦しさをギリギリまで押し殺して頑張って、その反動で一気に抑うつ症状が現われ、自殺を図る傾向にあります。その点でも、周囲が早くサインをキャッチする必要があります。 |
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大うつ病 「大うつ病」とはうつ病の中で主になるタイプという意味です。患者の数がもっとも多く、一般にうつ病といえばこのタイプを指します。 双極性障害 双極性とは、強い「抑うつ状態」と気分が高揚した「躁状態の2つをあわせ持つ症状があります。抑うつ状態のときは、ほかのうつ病との区別はほとんどつきませんが、ひとたび躁状態になると「多弁、自信過剰、活動性が過剰に高まる」など、抑うつ状態とは正反対の症状になります。 気分変調症 抑うつ状態は比較的軽いのですが、その状態が長く続くタイプです。どちらかというと若い人に多いといわれています。軽いうつ症状があり、体の不調が続いてスッキリしない症状が2年以上続いていると「気分変調症」と診断されます。 そのほか、やや特殊なタイプとして「非定型うつ病」、「仮面うつ病」、「微笑みうつ病」、「季節性うつ病」などがあります。 非定型うつ病 非定型とは典型的でないという意味です。中心には強い抑うつ症状がありますが、「日中も強い眠気がある、よいことがあると気分がよくなる」など独特の症状があるタイプです。若い人に多い。 仮面うつ病 抑うつ症状などの精神症状より先に、身体症状が現われている場合に「身体症状という“仮面”をかぶったうつ病」という意味でこの言葉が使われます。一見うつ病とわかりにくいという意味でこの名前が使われますが、その実態はうつ病の初期であることが多い。 微笑みうつ病 うつ病の初期症状といえる言葉です。症状が比較的軽いころに、周囲に心配をかけまいとして、患者さんが微笑みをうかべている状態を指します。 季節性うつ病 やや特殊なタイプのうつ病で、冬の間にだけ強い抑うつ症状が現われ、春の訪れとともに自然に軽快していく、というものです。 |
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現在、うつ病の診断に世界中で使われているのが、アメリカ精神医学学会が作成した「DSM―Y」という診断基準です。これはうつ病の症状に注目し、症状の数とその内容から診断するものです。 次の9つの症状のうち5つ以上の項目が当てはまり、それらの症状が2週間以上続いている場合にうつ病と診断されます。(ただし、1、2の少なくてもどちらか一方があてはまること) 1.ほとんど毎日続くうつ気分 2.何も楽しいと感じることができず、無気力で興味もわかない 3.食欲が低下している 4.よく眠れない 5.イライラする 6.疲れやすく、だるさがとれない 7.自分を責めてばかりいる 8.集中力が低下し、考えることができない 9.繰り返し死にたいと思う。自殺を口にする |
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