それまで当たり前のものとして送ってきた生活が、ある出来事をきっかけに大きく変化したとき、私たちのこころは不安な状態になります。
たとえば、近親者の死に直面すれば、悲観にくれて、しばらくは気持ちがふさぎこんでしまうでしょう。家庭や職場でトラブルが起きれば、ときに憤り、イライラ感がつのります。失職や転職、家族の病気などによって、将来の生活に不安を覚えたり、大きな挫折感を抱くこともあります。
このほか、離婚、定年退職、引越し。身体疾患や事故による入院、手術など、こころを揺り動かすできごとをあげればきりがありません。
さまざまな出来事に呼応して気持ちに振幅が生じるのは、ごく自然なここといえるでしょう。ただし、こころが受けるダメージがあまりに大きいと、喪失感や失望感、不安といった感情がいつまでも続いてしまい、うつ状態におちいりやすくなるのです。
また、「望んでいたマイホームをやっと手に入れた」、「長年、介護してきた老親が亡くなった」、「子供が独立した」といったように、それまで背負ってきた「荷」が軽くなり、ほっとしたときにも、軽症うつ病を発症しやすいものです。このようなケースは「荷下ろしうち病」などと呼ばれています。
このようにうつ病、とくに軽症うつ病は生活上の変化をきっかけに発症することが多いものです。
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