老猫の食事

【猫が喜ぶ食事の与え方】
 1日に与えるごはんの量や回数は、猫の年齢によって少しずつ違ってきます。年をとってくると一度にたくさんの量はとれなくなるので、1日3〜4回に分けて少量ずつ与えるようにしましょう。老猫は消化吸収能力が落ちてエネルギー効果も悪くなるので、食べても太らないことが多いようです。

 しかし、もし太るようでしたら8割くらいに減らしてみてください。急に減らしてしまうと猫が欲求不満になることもあるので、少しずつ減らすようにします。また、食事の時間は一定にしてください。

 これまでのフードからシニアフードに切り替えると、食べてくれないこともありますで、初めは少しずつ混ぜるようにして少しずつ変えていきましょう。



【食べやすいように工夫を】
 歯が弱ったり抜けたりしている老猫は硬いものは食べられません。食事中に食べにくそうにしていたら、そろそろ工夫をしてあげなければならない老化のサインです。

 キャットフードのカリカリなど硬いものは細かく砕いたり、やわらかく煮込んだり、ペースト状にすりつぶすなどして軟らかくしてあげます。ウェットフードを混ぜたり、猫用ミルクでふやかすのもよいでしょう。(ただし、人用の牛乳によっては、おなかをこわす可能性があります。)

 また、味付けのしていない鶏ガラスープなどをかけても喜ぶでしょう。



【いつでも新鮮な水を】
 腎臓は弱ってきている老猫には、水分補給がとても大切です。また、水を飲むことは便秘の解消にもつながります。いつでも新鮮な水がたっぷりと飲めるように用意しておきましょう。

 流水やお湯がすきな猫にはちょっともったいないですが、蛇口から水がポタポタたれるようにして下に置いた容器にたまるようにしておくというような工夫もあります。水はすぐ汚れてしまうので、まめにチェックしてきれいな状態を保ちましょう。



【落ち着いた食事場所を確保する】
 複数飼いの場合、年をとってくると若くて元気な同居猫の勢いに押されて。ゆっくりごはんを食べることができない時があります。また早く食べ終わった猫に横取りされてしまうこともあるので、だんだん食べることをあきらめ始める猫もいます。

 そんな様子が見られるようになったら、別の部屋に食事を用意するなどして、落ち着いてマイペースで食べられる環境作りをしてあげましょう。

 食器皿はステンレス製や陶器、ガラス製のものを使用します。プラスティック製はにおいが残りやすく、洗っても細菌が落ちにくく、猫によってはアレルギーを起こすことがありますので注意が必要です。

 また、足腰が弱ってくると床に置いたお皿では食べにくくなってくるので、つらそうな場合には、高めの台にお皿を置くなどして、体をかがめなくても食事ができるようにしてあげましょう。





【消化がよく栄養のあるものを】
 老猫の健康を保つには、若い頃とは違ったシニア用の食事が必要になってきます。まずは、歯は抜けたり弱ってきたりするので、硬いものは苦手になります。

 また、内臓の働きも悪くなっていくにつれ、消化吸収能力が落ちてきますので、エネルギー効率も悪くなります。そこで年をとった猫の食事は、軟らかく消化がよくて栄養価の高いものが理想です。

 猫は肉食動物なので雑食の人とは必要な栄養が異なります。人よりもタンパク質を必要としますが、人のように味付けした塩分の濃い食べ物は不必要で、かえって体を悪くします。

 犬と一緒に飼っている人には、ドックフードを与える人がいますが、猫にとっては動物性タンパク質の含まれる量が少なすぎます。犬とも栄養が異なりますので、与え続けると必要な栄養に過不足が出てしまいます。猫には猫の食事を与えるようにしてください。


肥満に注意

 栄養価の高い食事は食べ過ぎると肥満につながります。肥満はいろいろな病気の原因にもなりますし、ただでさえ運動量の少ない老猫がさらに動こうとしなくなってしまいます。

 また、脳や神経の衰えから、与えるだけ食べてしまい、限度がなくなるという場合もあります。適量を把握して、加減しながら与えましょう。

肥満猫


良質のタンパク質を

 鶏であれば、脂肪のある胸肉や手羽、牛のレバー、アジ、カレイ、ヒラメなどの白身魚、卵など。猫には、肉や魚、乳製品などの動物性食物に含まれるアミノ酸が欠かせません。

 特にタウリンというアミノ酸は植物には含まれてはいず、猫には必須のものなので、動物性たんぱく質が少ないと欠乏症を起こします。

 赤身の魚や青魚は、肉よりタンパク質の含まれる量が少ない傾向にあり、与えすぎるとビタミンE不足により、「黄色脂肪症」という病気にかかるおそれがあります。

 卵黄は高脂肪で消化も大変良いのですが、新鮮なものを与えてください。卵白は消化がよくないので、半熟程度に加熱してあげたほうがいいでしょう。


炭水化物

 お米はパンに比べて消化吸収しやすく、塩分も少ないので老猫に向いていますが、穀類のとりすぎは肉食動物である猫の消化気管にとって負担にもなるので、与えすぎはよくありません。加熱処理したものを少量であれば消化することができます。


ビタミン・カルシウム

 老いてくると、カルシウムの吸収が不足して、骨が弱くなっていることが考えられます。カルシウムの多く含まれているものを食事に混ぜてあげてください。

 また。ビタミンの吸収もできにくくなっているので、猫用に市販されているビタミン剤なども利用するといいでしょう。中でも猫に必要なものはビタミンEです。

 ビタミンEには老化のもとになる活性酸素の働きを抑制する効果があるといわれています。また、タンパク質や脂肪分の代謝を助けるビタミンB群も大切です。


塩分・糖類は控えめに

 老猫のほとんどは程度の差こそあれ、腎不全にかかっていることが多いものです。塩分は心臓や腎臓に負担をかけ、それが続くと肥満や病気の原因となります。ハムやかまぼこなど、人の食事や、味付けをした食べ物は与えないようにしてください。



市販品を上手に利用する

 今はシニア向けのキャットフードも数多く市販されています。手作りごはんでは栄養に偏りがでてしまうことも多いので、総合栄養食のシニアフードを利用するのをおすすめします。成分や粒の大きさ、軟らかさなど、その猫にあったフードを選びましょう。



【猫に食べさせていけないもの】
 塩分の多い加工品若いうちから気をつけるべきことですが、年をとったらますます塩分、糖分は控えめにしてください。

 人用の干物、缶詰、加工品(かまぼこ、ハム、ソーセージ)は塩分が多すぎて、猫の心臓や腎臓の病気の原因になります。味付けしてある肉や魚を与えるときには、ゆでるなどして塩抜きをしましょう。

甘いものはダメ!
 チョコレートや生クリームなどの甘いものは、ただでさえ弱っている歯をさらに虫歯にします。特にチョコレートは、猫の心臓に負担がかかるといわれています。

アワビ
猫が食べると耳がかぶれたように赤くなり、皮膚炎をおこすので与えないでください。

タマネギ
タマネギは猫の赤血球を溶かし、貧血を起こします。ハンバーグなどに含まれるタマネギをとるだけでも体によくありません。

イカ・タコ
猫はイカやタコが好きですが、これらは生のままでは消化できません。ただ、タウリンという猫に必要なアミノ酸がたくさん含まれていますので、与えるときにはよく加熱しましょう。

魚や鶏の骨
鶏の骨や、タイの太く鋭い骨は、歯の弱い老猫には、喉や消化気管を傷つけることがあります。魚は軟らかく煮たり、骨はあらかじめとり除いたり、砕いてすりつぶすなどして猫の歯の状態にあわせて工夫してあげましょう。

 



 
 
   
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