生活習慣病のひとつである糖尿病は、全身のさまざまなところに合併症を起こすやっかいな病気です。目も例外ではなく、糖尿病患者の20%くらいは糖尿病が悪化したため、失明したり、失明の一歩手前にいる「網膜症」と推測されています。これは失明の一番多い原因となっています。
糖尿病になると血液中のぶどう糖が増えて、血管をつまらせるため血液の流れが悪くなります。それにより血液によって運ばれる酸素が不足し、血管がもろくなり、特に毛細血管のような細い血管から出血するようになります。網膜にはこの毛細血管がたくさん走っているので、この結果、視力が低下することになります。
網膜症がやっかいなのは、自覚症状が乏しく、糖尿病になってから10年くらいたたないと症状が出てこないところです。ですから本人が病気に気づくころには、かなり症状が悪化しているケースが多く、ある日突然、眼底出血や、網膜剥離を起こし、視力が低下することがあります。
なお、糖尿病には、網膜症のほか、血管新生緑内障、白内障、目筋マヒなどを引き起こすこともあります。
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