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高血圧の治療

初期の高血圧であれば、あまり心配することはありませんが、すぐに治療にとりかかることが大切です。高血圧の治療は食生活や運動といった生活習慣の改善を行います。長く継続して行なうことになりますが、あきらめず正しく行えば、薬を使わずに血圧を下げることができます。

 治療の目的は、血圧を下げることそのものではなく、高血圧による心臓や血管の病気と、それらの結果としての虚血性心疾患や脳卒中を防ぐことにあります。生活習慣の改善で血圧をコントロールできないときは降圧剤が使われます。降圧剤を使う必要がある場合は医師の指示に従って、決められた量を決められた時間に処方します。これは長期にわたり行なわれます。

 日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2004年版によると、具体的な治療は、血圧がどの程度高いのかと、高血圧以外の心血管病のリスクがどのくらいあるかによって3つに分けられています。


低リスク患者(最高血圧が140159mmHg。または最低血圧が9099mmHg

生活習慣改善を治療の中心とします。しかし生活の改善を3か月続けても血圧が14090mmHg未満に下がらない場合には、くすりによる治療が併せて行われるようになります。

中等リスク患者(最高血圧が160179mmHg。または最低血圧が100109mmHg

まず生活習慣の改善から取り組みます。しかし低リスク群より早く、1か月後に14090mmHg未満に下がらない場合には、降圧薬治療を合わせて行っていきます。

高リスク患者と重症血圧患者
(最高血圧が180mmHg以下。または最低血圧が110mmHg以下)

高い血圧のまま放置すると危険なため、はじめから生活習慣の改善と薬物療法を同時に始めます。

生活習慣の改善

■基本は減塩

 人間は塩をとらなければ生きていけないといわれますが、食事からとらなくてはいけない塩の量はそれほど多くはありません。「減塩」というといかにもたいへんそうですが、むしろいままでとりすぎていた分を調整すると考えるとよいでしょう。

健康な人は日常的にとりすぎた塩分は尿に溶かして排泄しています。

高血圧の人にとっては塩分制限は、ナトリウムの過剰摂取による水の貯留を防ぎ、循環血液量を増やさないための重要な治療の一つになります。

■塩分は1日6g以下に

 現代人は知らず知らずのうちに1日1213gの塩分を摂取しているといわれています。これは塩分の多いファーストフードを含めた外食産業の拡大とコンビニエンスストアを中心とした弁当の食事が影響しているものと推測されています。

人間にとって望ましい塩分の摂取量は、健康な人で1日に10g以下、血圧が高めな人では6g以下とされています。血圧の高めの人は今日から塩分を減らし薄味になれるよう努力しましょう。

■高塩分の食品は避ける

 塩分を減らすには、どんな食品に塩分が多く含まれているかをよく知り、そうした食品を食べ過ぎないようにすることから実行します。

高塩分の代表的なものとして、漬物やつくだ煮、さらに塩辛や干物など日本の伝統的な食品が多いのですが、こうした食品を食べないようにする、あるいは量を大幅に減らすだけで、塩分摂取量は確実に1g前後へらすことが出来ます。

例えば、「調味料を控える」、「酢や香辛料、ハーブなどを活用する」、「みそ汁は具沢山に」、「外食や市販の弁当は控える」、「麺類の汁は残す」、「スナック菓子を避ける」等々・・・。塩分を減らすのはその気になれば実践可能なものばかりです。確実に実行していきましょう。

■食事はバランスよく

 高血圧にさらされた血管を守り、強化するには、必要な栄養素をバランスよくとることが何よりです。マイナスを減らしながら、プラス効果を強化すると考えて下さい。そのためには次のような点に配慮しましょう。

良質のタンパク質(高タンパク低脂肪の食品)を過不足なくとる。

野菜や果物、海藻類からビタミン、ミネラル、食物繊維を十分にとる。

幅広い食品から抗酸化作用を持つ成分を供給する。


■野菜をたっぷり摂る

 野菜には人間の体を健康に保つうえで欠かせないビタミンやミネラルが豊富に含まれています。しかも、野菜には血圧が高めの人や高血圧症の人に欠かせないカリウムを豊富に含んでいます。カリウムには食塩の主成分であるナトリウムを体外に排泄してくれる働きがあります。

野菜は1日に350g程度をとるのが望ましいとされています。特ににんじんやかぼちゃ、ピーマンなどの緑黄色野菜にはビタミンA、C、Eのほかベータ・カロテンが豊富に含まれ、がんに対する免疫力アップ、体を老化させる活性酵素撃退などに大きな効果があるとされています。またきゅうりやレタス、大根などの淡色野菜は主にビタミンCの補給源として貴重です。

■赤ワインは酸化防止に効果

 赤ワインで有名なのがポリフェノールです。このポリフェノールという成分は有害な活性酵素を撃退して、体のさびつき、老化を防ぐ抗酸化物質の一種です、こうした体の酸化防止効果のある植物性の機能物質をファイトケミカルと呼びます。

 ファイトケミカルには、劇的に血圧を下げる効果はありませんが、細胞のがん化を防ぐ作用、血液中にたまったコレステロールの酸化を抑制して予防する効果、あるいは抗うつ作用などがあります。高血圧症による合併症を予防したり、高血圧症そのものを改善するための健康な体づくりに役立てましょう。

ファイトケミカルは野菜や果物に多く含まれ、主に次のようなものがあります。

ポリフェノール:赤ワインや緑茶、ウーロン茶などに多く含まれ、特に悪玉コレステロールにたいする抗酸化作用が高い。

イソフラボン:大豆の芽に豊富に含まれます。女性ホルモンに似た働きがあり、女性の更年期障害の緩和や骨そしょう症の予防に効果があります。

カテキン:緑茶をはじめ紅茶やウーロン茶に多く含まれ、コレステロールや中性脂肪のなどの血中脂質を低下させる作用があります。

セサミノール:ゴマに含まれる成分で、悪玉コレステロールの酸化を抑え、動脈硬化を抑制する効果があります。

ルチン:そばやトマト、アスパラガスなどに含まれ、血圧のコントロールや貧血予防に効果があると言われます。

■運動習慣を身につける

 高血圧症を改善するのに、日常的な運動習慣を身につけることは不可欠です。運動をすると、体が温まって血管が開きます。その結果、血流がよくなりますから、心臓が血液をおしだすのに強い「圧」が必要なくなり血圧は低下します。さらに運動をすると体の代謝がアップします。代謝が活発になれば体内の脂肪が燃えますから、肥満の予防、解消になります。また、運動を日常的に行うと、副交感神経の働きが高まります。その結果、血圧が低下すると同時に、精神的な緊張がほぐれ、ストレス解消にも効果的です。

 運動が習慣になっているかどうかの目安は、運動をした日から3日以内に次の運動をしているかどうかです。3日以上たってしまうと、体はせっかく蓄えた運動効果を忘れ。またゼロからのスタートになります。3日以内なら運動効果は蓄積されます。


■ウォーキングは最適

 高血圧症を改善するのにはウォーキングが最適です。ウォーキングを行うのに、特にきまったルールはありませんが、次の点を心がけるようにします。

背筋はまっすぐ、視線は正面を見るようにして、姿勢よく歩く

大股で、腕を大きく振って、リズミカルに歩く。

13040分を目標に。無理な人は10分ずつ3回に行うなどの工夫をする。

ウォーキングは、できれば毎日、最低でも週3回は行うようにしないと効果はでません。


■お酒の飲みすぎに注意

 適度のアルコールは血圧を下げる効果があります。これはアルコールの作用で体の血管が開き、血流がよくなるためですが、適量を超えると今度は、アルコールが血管を収縮させる方向に作用して血圧の上昇を招きます。

ではアルコールの適量とは一体どれくらいでしょうか。処理能力には個人差がありますが、アルコールが健康によい働きをする限度量から算出した値は「純度100%のアルコールに換算して1日に20g」とされています。

 これをアルコールの種類ごとに当てはめますと、ビールは中びん1本、日本酒は1合、ウイスキーはダブル1杯、ワインはグラス2杯、焼酎(35度)はコップ2杯弱となります。

まずはアルコールの適量を知り、それを守る心構えが必要です。


■たばこは高血圧に有害

 喫煙は血圧を上昇させる悪の代表のようなものです。たばこにはニコチン、タール、一酸化炭素が多く含まれていますが、血圧の上昇に関係するのはニコチンで、体内に入ると血管を収縮させる作用があるため、喫煙すると心臓への負担は急激に増加します。

一般にたばこ1本吸うと、最高血圧は1020mmHgほど上昇すると言われています。しかも上昇した血圧は1020分間は元にもどりません。さらに怖いのは「早朝高血圧」の人が、朝起きたときにたばこを吸ったときです。1本のたばこで、最高血圧は3050mmHgほど上昇することがわかっています。それは正常な人に比べ23倍もの影響があります。これほどの過激な血圧上昇は、体調によっては深刻な事態を引き起こす危険性があります。

■ストレスは大敵

 現代は過去に例のないストレス社会と言われます。職場での人間関係や厳しい管理、家庭内のトラブルや子育ての悩みなど、およそストレスのない人はいないといっていいでしょう。もちろんストレスのすべてが害になるわけではありません。ある程度のストレスは生きていく活力、困難を乗り越えるエネルギーになります。

問題はストレスが過重になり、支えきれなくなってしまう場合です。過重なストレスが続くと心身は緊張し、精神的にも極度の緊張、興奮状態となります。そのため血管は収縮しストレスホルモンが血圧を押し上げます。

 ストレスを解消するには特にきまったマニュアルがあるわけではありません。自分が好きなことを思い切り楽しむなど、気分転換をしながら自分なりの方法を考え出していくのがよいでしょう。


■睡眠不足にならない

 十分な睡眠が取れないと、疲れをとってくれるホルモンが睡眠中に十分に分泌されず、体は疲労を回復することができません。肉体的に疲労が重なると、精神的にも緊張が高まり、イライラ状態が続き、些細なことで怒りっぽくなったりします。このように心身ともにストレスが高まった状態では、血圧も当然上昇します。睡眠不足の翌日に血圧測定をすると、普段より高めの結果が出るのも、基本的にこれと同じメカニズムです。


■朝の起床時は要注意

 血圧が高めの人は、朝の起床時は要注意です。「早朝高血圧」のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、基本的に就寝中は体は安静状態ですから、多くの血液を必要としません。そのため血管は収縮して細くなっています。

一方、目が覚めて活動を開始すると、血流が増えて血圧は一気に上昇します。また血液は、活動的な昼間はケガなどのトラブルに備えて固まりやすくなっていますが、夜はその必要がなく、凝固しにくくなっています。そして起きぬけには、固まりやすい状態に変化することがわかっています。

 つまり、朝の起床時には、血管は収縮して固まりやすい状態になっています。このため血圧が上がり。心筋梗塞や野脳梗塞などの急性発作を起こす危険性が高くなります。

高血圧症の薬

 高血圧症の薬物治療の目的は、単に血圧を下げることではありません。高血圧症による脳、心臓、腎臓など、重要な臓器に合併症を防ぐことです。

血圧をさげるための降圧薬は、生活習慣の改善だけでは出来なかった場合に医師の指示によって行われます。薬を飲み始めると、うそのように血圧が下がり基準範囲内に安定します。それだけに、医師の指示どおりに服用しないと、血圧が上昇したり、下降したりして危険です。

 特に危険なのは、薬物療法を始めてしばらくすると血圧が順調に下がってくるため、もうこれで安心とばかりに、自分の判断で勝手に薬を飲むのを止めてしまったり、飲む回数えを減らしてしまうことです。

薬をやめると血圧はたちまち元に戻ります。場合によっては、いわゆるリバウンド作用によって、以前より血圧は急上昇してしまうこともあります。自己判断はやめ、あくまでも医師の指示を守りましょう。

■降圧薬の種類

高血圧症の薬にはいろいろなタイプ、種類がありますが、薬の成分や作用の仕方、効果の現れ方にはさまざまな違いがあります。代表的なものは次のとおりです。


カルシウム拮抗薬

血管平滑筋の細胞内へカルシウムが流入するのを抑制して血管を拡張させ、血圧を下げます。高血圧症の治療の第一選択薬として広く処方されています。


アンジオテンシンU(AU)受容体拮抗薬

アンジオテンシンUは血管を収縮させるホルモンです。AUがその受容体を刺激すると、血管が収縮して血圧が下がり、その作用に拮抗して血圧を下げます。血流がよくなるばかりでなく、臓器や血管壁を保護する効果もあります。心臓、腎臓に合併症のある場合は特に有効です。副作用もほとんどなく注目度の最も高い薬です。


ACE阻害剤

ACEはアンジオテンシン変換酵素です。ACEを阻害するとアンジオテンシンUができるのを防ぎ血圧を下げます。AU受容体拮抗薬と同様、脳、心臓、腎臓への負担を軽くする作用があります。せきが出やすくなる副作用があります。


他の薬との併用

降圧剤を服用している人が市販のかぜ薬や胃腸薬などを飲むときは、使用の仕方で思わぬ副作用があるので、注意が必要です。

かぜ薬

一般的なかぜで、ほんの数日だけ市販薬を飲む程度であれば、降圧剤と併用してもほとんど問題はありません。しかし、高熱を出しているときに降圧利尿剤を飲み続けると、脱水症状が悪化する危険性がありますので、医師に相談が必要です。

胃腸薬

重曹の含まれているものは注意が必要です。重曹にはナトリウムが含まれていますので、血圧をあげる作用があります。またシメチジンという胃炎の薬が入ったものは血圧を下げる作用がたまにあります。薬の成分表をチェックするか、わからない場合は、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。


 
 




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