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イボ痔・きれ痔の治療

痔の最新治療―可能な限り切らずに治す (よくわかる最新医学)
 イボ痔・きれ痔の治療・解消

裂肛(きれ痔)の症状

 
 かたい便秘をいきんで無理に出そうとした時に、肛門上皮が切れて裂け、はげしく痛んだり出血したりするのが「きれ痔」です。

 また、下痢便では肛門粘膜に炎症を起こし、粘膜を弱くして避けやすくするので、便が通るときこすられるとすぐに切れるので裂肛(きれ痔)になります。
 


女性に多いきれ痔

 
 きれ痔は文字通り、肛門が裂けたり、切れたりしてできる痔です。いきんで硬い便を出したら、肛門の出口が「ぴっ」と切れて鋭い痛みがあり、お尻をふいたら紙に血がついていた。というのが典型的なきれ痔の症状です。

 若い女性に多くみられる痔ですが、その最も多い原因は便秘です。朝忙しくて排便の時間がとれない、外出先でトイレを使用しにくいなどの理由からトイレをがまんしたり、ダイエットで食べる量が減って排泄量も減少するなど、女性にとっては便秘になりやすい条件がそろっているということでしょう。

 また、若い人ほど肛門に張りがあるため、硬い便が通ると「ぴっ」と避けやすいといこともあります。

 ただ切れただけの症状ですと、たいていは自然に治っていきます。ところが、排便のたびに硬い便が出る人は傷口が治るヒマがないので、きれ痔は慢性化していきますので、とくに気をつけなければなりません。

 きれ痔の兆候があったら1〜2週間様子をみて、改善しないようなら病院で診てもらい、治療にきちんと取り組むことが大切です。
 


きれ痔が慢性化すると

 
 きれ痔が慢性化すると、傷はどんどん深くえぐれて潰瘍化します。潰瘍化したところには便がたまりやすく、汚染されて炎症が起こります。

 すると、傷のまわりが盛り上がって、潰瘍の上側に「肛門ポリープ」や、下側に「見張りイボ」とよばれる突起物ができます。


 肛門ポリープはがん化することはありませんが、だんだん大きくなって、イボ痔のように肛門から出たり入ったりするようになり、根元が裂けたりすると激しく痛みます。

 見張りイボは、文字通り、肛門の出口で見張りをしているような場所にできる、皮膚が分厚くなったイボのように隆起したもので、それ自体には害はありません。

 しかし、肛門ポリープや見張りイボができるくらい慢性化してくると、排便以外でも痛みが続いたり、肛門が狭くなって便を出しにくくなったりします。

 きれ痔の傷が深いと、治りにくいだけでなく、痛みも強いので、排便のたびに「肛門括約筋」がふつう以上に緊張して、ちょっとの刺激でも肛門を閉じようとしてしまいます。それが度重なると、肛門が狭いままでかたまってしまいます。

 こうなると「えんぴつ」のような細い便しかだせなくなってしまいます。ここまで進行してしまうと手術が必要になります。きれ痔になったら慢性化する前に専門医に診てもらうようにしましょう。
 


きれ痔の治療

 
 きれ痔は傷が浅い急性期であれば生活療法と薬による治療が基本です。方法はイボ痔と同じです。肛門に負担をかけないように、食事や運動、よい排便習慣などに気をつけて便秘を防ぎ、いつも肛門を清潔に保つようにします。こうしたケアを中心に、座薬や軟膏などの外用薬を用いて症状をやわらげます。

 きれ痔が慢性化して、だんだん傷が深くなって潰瘍化してくると、肛門が狭くなり、排便時の苦痛がひどくなってきます。痛みが激しかったり、再発をくり返すようになると、入院して手術が必要になることがあります。

きれ痔の手術
 きれ痔の手術は、狭くなった内括約筋の一部を切開することで肛門を広げるというものです。肛門が広くなることによって、肛門は切れにくくなり、痛みも軽減します。手術は比較的簡単で、日帰り手術がふつうです。