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イボ痔・きれ痔の治療

痔の最新治療―可能な限り切らずに治す (よくわかる最新医学)
 
 イボ痔・きれ痔の治療・解消

痔核(イボ痔)の症状

 
 肛門や直腸粘膜下には、動脈や静脈がたくさん集まったクッション部分がありますが、日常生活の中でこの肛門部分にさまざまな負担がかかると、クッションを支えている組織がゆるんだり、ちぎれたりして、クッション部分がうっ血して大きくなり、出血したり、肛門の外に脱出することがあります。

 このようにクッション部分が大きくなり、出血したり、肛門の外に飛び出たものを「痔核(イボ痔)」といいます。

 クッション部分は、直腸部にもあり、直腸側(肛門の内側)のクッション部分が大きくなってしまったものを「内痔核」、肛門側(外側)のクッション部分が大きくなってしまったものを「外痔核」といい区別されます。
 


イボ痔の原因

 
 痔になる人の50〜60パーセントを占めるのがイボ痔です。できる場所によって、痛くないものと、痛いものがあります。原因は肛門のまわりの血のめぐりが悪くなって、「うっ血」してイボ痔になります。

うっ血を招く原因としては
・排便時のいきみ

・立ちっぱなし、座りっぱなしなどの長時間の同じ姿勢

・重いものを持ち上げたり、運んだりするときのいきみ

・ゴルフのフルスィングなど、スポーツ時のいきみ

・妊娠による体重増、子宮の拡張からくる肛門部への圧迫

・出産時のいきみ

・アルコールや香辛料などのとりすぎ

などがあります。

 イボ痔をそのままにしておくと、痛みはないのに、いきなりポタポタたれるほど血がでたり、ほとばしるように出血することがあります。

 多量に出血すれば、たいていの人は医者にいきますが、少量の出血ですと放っておく人もいます。しかし、たとえ少量でも、出血があったら専門医に診てもらうのが安心です。

 


イボ痔は突然出来る

 
 イボ痔は肛門の出口付近にできる血豆のようなもので、マッチ棒の先ほどの小さなものから、親指大のものまで大きさはさまざまです。

 突然現れて、激しく痛むのが特徴です。あまりの痛さに「座ることもできない」ようになることもあります。

 その原因は、排便時などに瞬間的に強い力でいきんだとき、激しい運動や仕事をしているとき、またお酒を飲みすぎたあとに突然にということもあります。

 人によっては、トイレットペーパーで肛門を強くこすったときにできることもあります。これらは一時的な痔なので、適切なケアをすることで病院にいかずに治ることがほとんどです。

 この種類の痔は、肛門の外、知覚神経が通っている場所にできるので、しばしば激しい痛みを伴うというのが特徴です。

 一般に「腫れたら冷やす」のが常識とされていますが、この場合は患部を冷やすのは逆効果です。お風呂につかるなどして患部をあたため、血行をよくするのが改善のポイントです。
 


内痔核と外痔核

 
 便秘のときに、トイレで長時間いきんで肛門に負担をかけていると、肛門のクッションの組織の血流が悪くなり、血管が切れて出血し、血管の結合織が肛門内に盛り上がり、うっ血ができます。

 このうっ血の形がイボに似ていることからのイボ痔とも呼ばれています。イボ痔はできる場所によって「内痔核」と「外痔核」に分けられます。



内痔核(ないかくじ)は、肛門の内側にできるイボ痔で、痔核の約8割を占めます。

 肛門の内側にできたイボですので、痛みを感じません。ですから、初めは気づきませんが、放っておくと、このイボはだんだん大きくなり、排便のときに便とこすれあって出血するようになります。

 最初は出血だけで痛みはありません。しかし、出血量は比較的多く、ポタポタとたれたり、サーッとほとばしるようになります。

 この内痔核は、さらに大きくなると排便のときに肛門の外に出てくるようになります。これが「脱出」です。痛みがないので便の際に出てくることがあっても、手で押し込んで元にもどっていれば、医者に行くこともないとそのままにしている人も多くいます。

 ところが、そのイボに血栓ができて腫れあがって大きくなり、激しい痛みに襲われることがあります。これは肛門の奥にできた内痔核が大きくなって外に飛び出し、それが肛門に「はさまった」状態で血栓を形成して、腫れあがってもとに戻らなくなった状態です。

 患部を温め、清潔を保ち、薬を使って痛みと腫れを治療します。腫れがひけば「はさまった」状態は解消しますが、イボ痔がなくなったわけではありません。再発防止には元凶の内痔核を根治する治療が必要になります。

外痔核(がいじかく)はうっ血(イボ)が肛門の外側にできるイボ痔で、重いものを持ち上げたり、ゴルフをするときなどに、急に腹圧をかけると肛門に激しい痛みを起こすことがあります。さらにうっ血が肛門括約筋でギュッと締めつけられたりするとその痛みは倍増します。

 外痔核は便をやわらかくして、消炎薬などを用いれば、ふつうは2〜3日で痛みがやわらぎ、1ヵ月ほどではれはなくなります。
 


イボ痔の治療

 
  痔の治療は、生活療法と薬によって症状を改善していくのが基本になりますが、手術が必要な場合もあります。

 イボ痔の場合は、まず生活療法と薬によって治療を行い、あまり効果がみられない場合は、専門医による外来処置(日帰りで行える治療)、それでもダメな場合は手術という流れになります。

 イボ痔の治療の中心となるのはなんといっても日常生活でのケアです。そして補助的に薬を用いることで治療します。
 


痔の生活療法

 
 痔の主な原因となるのは、便秘や下痢などの便通異常です。痔は生活習慣病の一つとも言われており、それには不規則な食事、偏食、暴飲暴食、極端なダイエット、禁煙、運動不足、心身のストレスなど、痔になりやすい生活習慣を改善することが治療の基本となります。


正しい排便習慣を身につける
 毎日、排便する習慣を身につけるようにします。便意があるときはがまんしないでトイレにいきましょう。ただし、1回の排便時間はできれば3分以内にしましょう。トイレで長時間いきんでいると、肛門に大きな負担がかかり、痔が悪化することになります。完全に出し切ろうと強くいきんだり、長時間座って頑張ったりすると、肛門のうっ血の原因となります。


朝食をしっかり食べる
生活習慣の改善では、食事の見直しが欠かせません。まずは朝食をしっかり食べることが必要です。

 排便にはリズムがあります。便意がもっとも起こりやすのは、通常、朝食を食べたあとです。朝、からっぽの胃に食べ物が入ると、腸の運動が活発になり。便が出口へと送り出されて「出したい」という便意が起こります。きちんと食べて、排便をしっかりすませるという習慣をつけることは、便秘予防とは解消にたいへん効果があります。


食物繊維と油脂類をとる。
 たっぷりのかさがあって、ある程度のなめらかさがある便が毎日出ていれば、痔になることはほとんどありません。それには食物繊維と油脂類、水をたっぷりとるのが有効です。

 野菜や穀物などに多く含まれる食物繊維は、便をつくる元になります。食物繊維は水分を吸収して便をやわらかくし、便のかさも増やしてくれるので、大腸のぜん動運動が活発になり、便通の改善につながります。また、適度の油分や脂肪分は便になめらかさを与えて、排便をスムーズにおこなえるようになります。


水分をたっぷりとる
 便の成分の大半は水分ですでので、こまめに水分補給をするように心がけます。1日に1.5〜2リットルの水をとると健康によいと言われますが、便通をよくするという点からも、たっぷりの水分補給はおすすめです。 


リラックスを心がける
 過度なストレスが原因で胃や十二指腸に穴があくことがあるように、緊張状態が長く続いたり、仕事が忙しくなったり、人間関係のストレスがたまったりすると痔が悪化することがあります。

 ストレスがあると知らず知らずのうちに体全体が緊張して力が入り、おしりの穴もキュツとしまったような感じになります。反対にリラックスするとおしりの筋肉もゆるみます。また「笑うとおしりの穴が動く」といわれているように、よく笑うことは痔の改善につながります。


運動不足を解消
 特にソファや椅子に座りっぱなしや長時間立っていることは肛門のうっ血を招き、痔になりやすくなります。痔や便秘の予防には、ウォーキングや軽い体操だけでも、それを毎日続けることで十分な効果があります。

 車を使わずに歩く、エレベーターやエスカレーターを使わず階段を利用するなど、ふだんからこまめに体を動かる習慣をつけることが大切です。