子供のアスペルガー症候群について正しく理解するための基礎知識




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 子供のアスペルガー症候群


 子供のアスペルガー症候群の対処法

アスペルガー症候群の対処法は 大人になると対人関係は改善される
人間関係、友達つくりは 事前に予告をしてあげる
スケジュール表を作ってあげる 一度のたくさんの指示をしない
時間の流れを理解させる 生活空間わかりやすく
特性を生かす学習を 社会的技能の訓練をする
身だしなみを整えさせるには 物事の要点をつかむ訓練をする

 アスペルガー症候群の対処法

 アスペルガー症候群の子供には独特の行動上の特徴があります。このさまざまな症状の原因となっている「心の特徴的な動き」は生まれつきのものです。

 アスペルガー症候群の行動特性があらわれてくるのは2〜3才からです。親はできるだけ早い段階で子供がアスペルガー症候群であることに気づき、子供の性格の特徴への理解を深めること大切です。そして「治癒」させようとするより、社会生活を送る上での困難をとりのぞくための「リハビリ」をするのだと考えるといいでしょう。

 そうすることで、さまざまな経験を積んでいく中で自ら正しい対処法を学んでいくことができるようになります。例えば、こんな場面ではこういう態度をとると、周囲とうまく歩調を合わせることができない、といった経験の積み重ねによって、次第に状況にあった行動をとうことができるようになっていきます。

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 アスペルガー症候群の子供の「人間関係、友達つくりは」

 アスペルガー症候群の子供は社会的な友達作りが難しい面があります。
 アスペルガー症候群の子供にとっては、思い通りの反応が返ってくるとはかぎらない人と一緒にいるのはストレスのたまる面があります。だからといって友達ができないということではありません。共感し合える「親友」のような関係は築けなくても、人づきあいはさまざまな形があると考えるのがいいでしょう。あまり心配しすぎないでおおらかに見守ってあげることです。そして必要であれば親が橋渡しの手助けをするようなスタンスがいいでしょう。

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 アスペルガー症候群の子供には「スケジュール表を作ってあげる」

 アスペルガー症候群の子供は、これから起ることの予測がつかないことに大きな不安を感じます。ですので、きちんと計画を立てて、これからの行動を事前に確認しておくと、そのストレスを軽減することができます。

 例えば、1日のスケジュール表をつくり、壁などに張っておきます。朝7時におきる。朝ごはんをたべる。学校までの道順を確認して家をでる。子供がとるべき行動をイラストなどの視覚的なイメージで示したり、言葉で書いたりして子供を安心させます。

 学校生活でも教師の協力が必要になります。ここでも効果的なのは、幼稚園や学校での1日の行動予定表を掲示しておくことです。スケジュールの変更があったら、必要に応じて教師がカードの順番を入れ替えて子供に伝え理解を得ます。

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 アスペルガー症候群の子供には「時間の流れを理解させる」

 アスペルガー症候群の子供には時計の見方をきちんと覚えられない子が多くいます。時間の経過を追うのが苦手なため、あとどれくらい時間があるというような判断が苦手です。
 時間の経過を覚えさせるためには、時計の見方をしっかり覚えさせることです。時間が流れていることを意識させるには、デジタル表示の時計よりもアナログ時計を用います。長針や短針、秒針のついたアナログ時計は視覚的にもとらえられやすく、アスペルガー症候群の子供にはよりわかりやすいからです。
 さらにタイマーを用いて「何時になったら何をする」といったような指示を与えることで時間を意識させ、その感覚を養っていきます。

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 アスペルガー症候群の子供には「特性を生かす学習を」

 アスペルガー症候群の子供の特性は知的な遅れはありませんが、学習面での「得意分野」(規則を覚えることや、型どおりの手順えお用いること等)と「不得意分野」(自分で考えて答えを導き出したり、想像力えお働かせること等)がはっきり分かれていることです。

 生まれつきの特性である不得意分野でできないこともありますが、無理に興味の場をひろげるより、苦手な分野は無理強いせず、得意分野を十分に伸ばしていくのが望ましい対応といえます。

 併せて、日常生活に必要な最低限の常識を身については教える必要があります。今後、子供が社会の中で生きていくためには、最低限の常識は必要になるからです。それには、感情に訴えるような説得の仕方は避けて、「こういうときにはこう対処するものなのだ」というふうに、状況と対処法をセットにして教えるのが効果的です。
 子供の行動を無理に変えるのではなく、行動の背景にある認知の違いをよく理解して適度な距離で接することが大切です。

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 アスペルガー症候群の子供に「身だしなみを整えさせるには」

 アスペルガー症候群の子供にとって、シャンプーを使って髪を洗ったり、石鹸を体につけたりすることを非常に不快に感じることがあります。これはアスペルガー症候群の子供の皮膚感覚には独特のものがあるからです。
 しかし社会生活を送るうえで、身だしなみを整えることはとても重要なことです。そこで、体を洗わないと不潔になること、汚れた服やにおいは不快に感じることなどを説明します。長々と説明すると混乱するので、「こうすることになっている」とルールを教えるように明確に話すと理解が得やすくなります。
 また、お風呂に入ったり服を着替えたりしたら、子供が望むごほうびを与えるというのも一つの方法です。

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 アスペルガー症候群の子供は「大人になると対人関係は改善される」

 アスペルガー症候群の行動の特性は生まれつきのものなので大人になっても基本的には変わりませんが、経験によってその対処法を身につけていくことができます。

 思春期以降は、自分は周囲とちがうことに気づきまじまめすので、悩みはより深まる傾向にあります。中には周囲の間違った対応によって大人になるにつれ、うつ病症状を起こすこともあります。

 しかし、たいていの場合は経験を積み重ねていく中で、自分なりの対処法を身につけていきます。自分のとった行動に対して、何らかの困難にあった場合には、別の行動をとるべきだったと反省し学習していきます。
 そして自分がまわりと合わせる方法を身につけていくと、折り合いもよくなり、本人のストレスも軽減されていきます。

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 アスペルガー症候群の子供には「事前に予告をしてあげる」

 アスペルガー症候群の子供の場合、素早い判断が苦手です。ですから課題を出されてからそれを理解するまでより時間がかかります。そのためには「事前の予告」をすると効果的です。
 事前の予告をすることで、子供は心の準備ができるとともに、課題への集中力を高めることができます。これから何が起るのか、また何をしようとしているのか、そういったことを課題の前に予告しておきましょう。

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 アスペルガー症候群の子供には「一度にたくさんの指示をしない」

 アスペルガー症候群の子供は身の回りの情報を素早く処理することが苦手ですので、一度にたくさんの指示を与えられると混乱してしまいます。
 指示は単純明快に出すようにします。また長々と説明していると要点を見失ってしまいますので、指示を出すときは1つの指示だけを与えるようにします。
 例えば、服を片付けてほしい場合は「服をしまって」とだけ指示します。「服を片付けたら。次に本を片付けて・・・」というようにつけ加えると混乱してしまいます。そして、指示を出したら子供がやりとげるまで根気強く見守るようにしましょう。

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 アスペルガー症候群の子供の「生活空間はわかりやすく」

 アスペルガー症候群の子供は「選択的注意」ができないので、雑然とした環境がとても苦手です。視覚や聴覚に入ってくる情報が多すぎて集中することができないのです。その結果、混乱して自分が何をしたらよいかわからなくなってしまいます。

 そのため、生活空間はできるだけスッキリさせてあげましょう。ここは勉強する場所、ここは遊ぶ場所、ここは本を読む場所といったように目的によってスペースを区切ると子供にはわかりやすくなります。スペースを区切ることで「ここは○○をするスペースなんだな」とすぐわかります。
 さらに区切られたスペースにある道具を見ることで、これからの行動を予測することができ、子供の安心感も高まります。

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 アスペルガー症候群の子供の「社会的技能の訓練をする」

 アスペルガー症候群の子供にとって、社会の常識である「社会的技能」を身につけるのは大変なことですが、生活していく上での「困り感」を少しずつでも軽減していかなければなりません。

 社会的技能を身につけるには、経験や訓練が必要です。これは子供にとっても、親にとっても大変なことですが、今後の暮らしやすさに深くかかわってきますので身につけさせることが必要です。

 社会的技能の訓練は、どんな場面でどのような表情や態度をとるのか、何度も繰り返して子供に理解させていきます。
 例えば、写真やビデオを用いたり、実際に親が演じてみせたりして、ここではどのような態度をとるべきかを教えます。また台本を使って子供に演じさせたり、子供のさまざまな表情を鏡に映したり、ビデオに録画したりして子供自身に見せます。また、物語の展開を予想することで、他人の行動を予測する力をつけさせるという方法もあります。

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 アスペルガー症候群の子供には「物事の要点をつかむ訓練をする」

 アスペルガー症候群の子供は物事の本質とは関係のない部分に神経を集中してしまうことがよくあります。この特有の認知の仕方を克服するのは難しい面もありますが、少しずつ訓練をしていきましょう。

 例えば、子供が30分番組のアニメを見ていたとします。大人も一緒にこの番組を観て、終わってから「今日の話はどんな内容だったかな」などと質問します。子供は「主人公の持っていた剣は緑色だった・・・」「犬が遠くに走っていった・・・」などのように印象に残った場面だけを話すかももしれませんが、そんな時は否定しないで「そうだったね。よく見ていたね」と子供の話を認めます。そのうえで、「でも、話の中心になっていたのはこんなことだったんじゃないかな」とその日の主題について一緒に考えます。
 こうした訓練を繰り返して行い、徐々に物事の要点をつかめるようにしていきます。

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