残念ながら、現在でも認知症の中心となる症状を根本的に治療する薬は今のところありません。しかし、治療することで、病気の進行を遅らせたり、症状の出力を抑えることができます。 認知症に対する治療の第一歩は、患者さんの病気の種類や特徴をしっかりと把握することです。とくに家族や介護者が、患者さんの病気の性質を正しく理解しておくことが大切です。 認知症の治療にはさまざまな方法があります。治療には大きく分けて3つの方法があります。 |
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アルツハイマー病は治療法がないといわれていましたが、あと数年たてば根治できる治療薬が誕生するといわれるほど、研究が進んでいます。現在あるのは、認知症の進行をゆるめたり、脳の機能低下を抑える治療薬だけです。 現在、日本ではドネペジルのみが軽度および中等度のアルツハイマー病に使用できます。ドネペジルによって記憶障害そのものを改善できるわけではありませんが、進行を少なくとも1年間程度遅らせることができるといわれています。 ■アルツハイマー病にはサプリメントも効果的 アルツハイマー病に有効であるといわれるサプリメントにイチョウ葉エキスがあります。フラボノイドなど多様なポリフェノールが含まれ、酸化ダメージから神経細胞を守る作用があります。海外では治療薬とともに服用されることが多く、日本では健康食品として市販されています。 もう一つはビタミンEです、中程度のアルツハイマー病の進行を抑えるといわれています。コエンザイムとの併用が有効です。また最近では、米から抽出されるフェルラ酸がアルツハイマー病に有効であるとの報告もされています。 |
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脳を活性化させるリハビリテーションも、認知症の進行スピードをゆるめたり、失われた能力を回復させる効果があります。認知症の患者さんのリハビリテーションは患者さんが生活をゆったりと、しかも役割を持ちながら楽しめることが大切です。一般的なリハビリテーションと違うところは、個々の患者さんの「できること」を生かして、人との積極的な交流を保てる場を提供することで、病気の進行を遅らせたり、症状を安定させる効果があります。リハビリテーションには回想法や、音楽療法、芸術療法などさまざまなものがあります。 |
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■回想法 回想法は過去を思い出して語る療法で、アメリカの精神科医によって始められた治療方法です。それまでは、過去を振り返る行為は現実逃避的であり、治療の妨げになるという考え方が一般的だったのですが、実際に効果があることがわかり、高齢者への認知症の効果が注目され、広く知られるようになりました。 |
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■音楽療法 音楽療法は、認知症のお年寄りには効果の高い療法として評価されています。好きな音楽を聴く、カスタネットやタンバリンなどの簡単な楽器を奏でる、あるいはカラオケで歌ったり、なつかしい唱歌を合唱したりと、言葉によるコミュニケーションが難しくなった人でも参加できます。 |
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■運動療法 運動量の多い人は、少ない人に比べてアルツハイマー病や認知症になりにくいというカナダのデータがあります。運動には、脳の機能を維持するだけでなく、脳の働きを活性化する効果もあります。 |
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■役割分担を決める。 認知症の進行をセーブするには、環境や家族の接し方も大きなウエイトを占めます。認知症という病気を理解して、本人の不安や苛立ちに寄り添って接すること。周りの協力を得ながら、介護サービスなどを上手に利用して、笑顔で暮らせる環境を心がけることが大切です。 介護はどう頑張っても一人ではできません。認知症は環境が変化すると症状が進むことが多いので、住み慣れた環境で過ごすほうがいいのですが、本人にとっていちばんいい方法を相談することです。 中心になって介護する人、介護チームのリーダーを決めます。みんなの考えや意見をまとめながら、医師や介護サービスの担当者との窓口になって治療方針や介護方針を決めていく人です。認知症の本人のことをいちばん良く知っている人がなるのがベストです。 認知症の介護年数は平均が6、7年、10年以上という人も6人に1人弱います。途中でくたびれてしまわないためにも、それなりの準備が必要です。 アルツハイマー病の場合は体への影響はないので、元気に歩き回ることが多く、症状が進むと目が離せないことも珍しくありません。またどんなに一生懸命介護しても、認知症の人からねぎらいの言葉が聞けないのも。この病気の介護のつらいところです。 精神的、肉体的疲労がたまってくると「いつまでこの介護が続くのだろう」と暗澹とした気持ちになってきます。また笑顔で接することが難しくなったり、介護している人に憎しみを感じることにもなりがちです。 |
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アルツハイマー病には治療法がないと言われていましたが、日本でも1999年から塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)という治療薬が使われるようになっています。認知症の一歩手前の段階で発見できれば、発症予防に努めることができますし、進行までの時間を遅らせることが出来ます。 早い段階で治療を始めれば、始めるほど効果が高くなります。 |
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